最後に鴉がやってくる (短篇小説の快楽)
最後に鴉がやってくる (短篇小説の快楽) / 感想・レビュー
かわうそ
農村の若者がグダグダ暮らす姿を描いた作品から、戦争をテーマに死の気配を背景にした幻想性が立ち現われてくる作品までバラエティ豊かでどれも非常に面白く読んだ。特にお気に入りは、表題作と「ドルと年増の娼婦たち」「工場のめんどり」あたり。
2018/07/22
M H
カルヴィーノ初読みがこの初期短編集で良かったのか。どうも後の作風とは違うらしい。23編収録されているが、動物、農村生活、パルチザン体験などが題材になっている。このあたりは解説に詳しく、とても助かった。全てではないにしても、表題作で射撃の腕を買われた少年が取る行動などある種の酷薄さが印象的。突然奇矯な人物が出現して戸惑うことも。いずれにしてもカルヴィーノはまた読みたい。
2022/06/08
かもめ通信
カルヴィーノの初期の作品を集めた第一短編集をもとに、既に日本で翻訳紹介されている作品を省いたり、少し後に発表された作品を加えたりした短編集。ひと言で言うと「そこはやっぱりカルヴィーノ」という感じ?!とにもかくにも余韻の持たせ方がうまい。
2018/05/21
きゅー
カルヴィーノの最初期の作品群となる23篇の物語が収録されている。彼自身まだ20代の半ばであり、ネオリアリズモ色が色濃く、私たちが一般的にカルヴィーノに求めるような軽やかで理知的な作風では全くない。写実的かつ反ファシズム的なこれらの物語では、第二次世界大戦におけるパルチザン活動が何度も描写され、彼自身の戦争体験が強く反映されている。カルヴィーノでなければ満足して読み進められる物語なのだが、それは難しい。カルヴィーノはあまりにカルヴィーノなのだから。
2018/10/04
maimai
イタロ・カルヴィーノの第一短編集(といっても、日本での訳出状況を考慮して取捨選択したオリジナル編集のようだが)。とても素晴らしい。一作ごとに作風がめくるめく変化を見せるその後の作品群とは違い、同じような傾向の作品が続くけれど、次から次へと読んでいきたくなる面白さに満ちている。まさに珠玉。
2018/04/22
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