アート・スピリット
アート・スピリット / 感想・レビュー
harass
画学生への講義と手紙で構成した本。著者は今では忘れられている米画家であるが、この本はいまだに読まれ続けている。題名「芸術の魂」の通り、絵画技法や芸術について生活や教育についてなどを熱く語っている。リンチやへリングも感銘を受けたとある。たしかに元気をもらえる本だ。「独創性について。独創性について心配することはない。本人がいくら望んでも、独創性を振り払うことはできない。独創性は人間につきまとい、誰かが考えるよりもずっとしつこくその人間の本性を--善きにつけ悪しきにつけ--さらけだそうとする。」
2016/12/06
zirou1984
デヴィッド・リンチが「アート・ライフに規範を与えたバイブルのようなもの」と称する、修造以上の熱さと確信を打ち抜く情熱が込められたアート啓蒙書。画家を目指す生徒への教えや手紙を集めた選集なのだが、とにかく発せられる言葉の数々から溢れ出す魂のパンチラインが破格なのだ。絵画への興味や嗜み関係なく、読書の目と人生を嫌が応にも見開かせる圧倒的パワー。「結局のところ、芸術とは軌跡にすぎない――人が大胆に、そして大きな喜びとともに歩いたことを示す足跡なのだ。」国書刊行会によるクールな装丁や丁寧なのに笑える解説も最高。
2016/12/02
多聞
本書は絵画に全身から向き合った男の情熱や苦悩が剥き出しになった芸術の魂(アート・スピリット)そのものだ。教師でもあったヘンライは、技法のみならずモチベーションの維持、表現者としての日々の在り方などを読者である私たち一人一人に真剣に向き合いながら説いてくれる。絵画の技法は写真にも応用可能であるように、本書はあらゆる形の創作活動に携わる表現者たちにとって頼もしい味方となるだろう。
2013/02/17
前田まさき|採用プロデューサー
■価値のある芸術はすべて、強烈な人生の記録である。そして、一人ひとりの芸術家による作品はどれも、その人物ならではの特別な努力、調査、発見の記録である。自分を表現するために、その言語は芸術家自身によって慎重に選ばれ、最善の方法で用いられる(p.246)。 ■芸術家は自分で自分を教育しなければいけない。芸術家に何かを教えこむことはできない。自分の身をもってさまざまなことを試していく。芸術家の一生は、長い時間をかけてものごとを調査するプロセスであり、またその結果に自分自身がどう反応するかである(p.246)。
2020/08/24
tipsy
芸術家達に読み継がれた芸術書。人生の哲学書としても読まれているのが納得の内容。全体的にポジティブで情熱的。とにかく前に進むべしという雰囲気に満ち溢れている。芸術(表現する事)は言葉の延長であり言葉では表現しにくい壮大な感動と絶妙な感覚を伝えるもの。感受性の鋭い目と、自分の想像力を愛し信じて育てていく事こそ大事なのだと言う。日常の中にある考えや感情の表現、それこそがアートでありそれを日々拾って行こうという彼の思想が詰まっている。自分の想像力を注ぎ込んでこの世になかった物を創り出す人達の素晴らしさを再確認。
2015/03/05
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