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ホープ川の助産婦 (希望の医療シリーズ)

ホープ川の助産婦 (希望の医療シリーズ)

ホープ川の助産婦 (希望の医療シリーズ)

作家
パトリシア・ハーマン
中村哲也
小林政子
出版社
国書刊行会
発売日
2014-01-28
ISBN
9784336057754
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ホープ川の助産婦 (希望の医療シリーズ) / 感想・レビュー

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はる

1930年代。大恐慌時代のウェストヴァージニア州の小さな炭鉱町で、助産婦として働く一人の女性の物語。大恐慌の影響下、貧困や人種差別が蔓延るこの町で、様々な状況の出産に立ち向かう主人公。だが彼女には人には言えない過去があった……。緊迫する出産場面が圧巻。当時の濃厚な空気感、主人公の揺れる心情の繊細な描写も秀逸だ。まだまだ技術も知識も未熟な時代、出産に立ち向かう主人公。様々な人たちの出産に関わるうちに、孤独だった彼女も少しずつ変わっていく。特に獣医師との淡い関係が爽やか。心が洗われるような物語だった。

2023/05/23

鳩羽

大恐慌時代のアメリカ、ウェストヴァージニア州で経験の浅い助産婦としてペイシェンスは働いていた。誰もが貧しく、お産を取り行っても満足な報酬は得られない。助産婦が膣に手を入れるのは違法行為だが、胎児の様子を知るためにはそうしなくてはならないこともある。黒人の少女ビッツィーを見習いとして居候させながら、ペイシェンスもまた苦労の多い人生を歩んできた人間として、悲しみを背負っていくのだった。…黒人差別や労働、貧困問題など、そしてもちろん出産の危険や喜びなど、語られることで開かれる人間の営みが静かに胸を打つ。

2020/08/30

夕立改二

誰でも最初は母親から産まれてきたという当たり前のことを思い出させられる。物語の主要なテーマはお産だが、他にも白人・黒人の人種問題や移民、労働者運動、貧困、生と死などそれだけで一本の話が書けるくらい濃いテーマが巧みに折り重ねられている。動物もたくさん描かれる、田舎に住むひとりの女性の物語はディネセンの「アフリカの日々」を思い起こさせるが、この本とは明暗の好対照になっている。誤字脱字が多く丁寧に校正されていない印象が与えられてしまうことは、せっかくの素晴らしい本の値打ちを損ねており惜しい。

2014/04/02

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