定本 夢野久作全集 第2巻
定本 夢野久作全集 第2巻 / 感想・レビュー
HANA
全集二巻目。本書の白眉はやはり「犬神博士」ではあるまいか。前半はどうも興が乗りきらなかったが、木賃宿の主人をイカサマで打ち負かすシーンから俄然面白くなり、官憲と玄洋社の対立まで一気読み。この辺り久作と玄洋社の関係覚えてたらもっと面白くなったのになあ。未完が惜しまれる出来。他にも「狂人は笑ふ」「キチガヒ地獄」のような後年の「ドグラマグラ」に通じるような精神病院を舞台にした諸作、「斜坑」といった九州の土俗に外洋を舞台にした作品、果ては幻想小説の小品と盛り沢山。久作作品の様々な萌芽はこの時期からあったのだなあ。
2018/09/28
ぐうぐう
編年体の構成を持つ『定本 夢野久作全集』。夢野久作が小説家として積み重ねて来た流れが、発表順に収録された作品を読み進めていくことで、とても良く理解できる。目新しいものを果敢に作品に投入する姿勢は、幻肢を扱う短編「一足お先に」において見て取れる。無くなった足の痛みを感じるという現象が、いかに久作を刺激したか、容易に想像できる。言葉遊びになっているタイトルからわかるように、それを久作は、ユーモアを交えて描いているのが、また印象的だ。(つづく)
2018/01/03
∃.狂茶党
安定感が出てきてる。 夢野久作が描く女性像は魅力的で、時にガーリー、ゴスな魅力を放つ。 『犬神博士』に限らんけど、百年以上前の博多の言葉が、微妙にわからん。 福岡生まれ福岡育ちなんだけど、細かいところがわからない。 これ、当時九州以外の地域の人にとっては、暗号だったんじゃないのか。
2024/02/29
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