新編日本幻想文学集成 第6巻
新編日本幻想文学集成 第6巻 / 感想・レビュー
ぐうぐう
幻妖メルヘン集と題された『新編・日本幻想文学集成』第六巻。四人の作家が収録されているが、幻想が生まれる源が、作家によってそれぞれ違うことに気付かされる。宮沢賢治は言わずと知れたイーハトーブ、小川未明は童心、牧野信一は牧野信一自身、坂口安吾はふるさと、といった具合に。賢治の作品は一編だけで読むより、ある程度の数をまとめて読むほうが賢治の個性が伝わってくるような気がする。未明の童話は、教訓で解釈してしまうには、あまりにも怖く、哀しく、せつない。「金の輪」は忘れがたい名作だ。(つづく)
2017/07/01
灰月弥彦
一番楽しみにしていた『幻妖メルヘン集』。収録作家は宮沢賢治、小川未明、牧野信一、坂口安吾。知名度は宮沢賢治の方が高いのでしょうがこの巻の白眉は坂口安吾です。特に「桜の森の満開の下」は幻想文学の中で最も好きな作品の一つです。大部のシリーズですが、この巻だけでも、ぜひ。
2017/08/11
シロツメ
小川未明と牧野信一はこの本で初めて読んだ。牧野の小説は一読しただけでは判然とせず困惑するものが多かったけど、解説で物語の背景にある作者の事情を知って少しとっつき易くなった気がする。牧野が安吾の「風博士」を激賞したというのは実際に牧野側の作品を読むと納得した。どこか似てる印象。小川未明は悲しい話も優しい話もどこか淡々と 、でも冷たくはない書き方の童話でどれも読みやすかった。
2017/11/20
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