人形つくり (ドーキー・アーカイヴ)
人形つくり (ドーキー・アーカイヴ) / 感想・レビュー
HANA
「リングストーンズ」と「人形つくり」の二編を収録。両者とも古典的と言えば古典的な怪談なのだが、「リングストーンズ」の手記のラストシーンや「人形つくり」の人形劇や創造方法のシーンなどはまさに見るべきものがある。特に前者。解説とかで触れられていた支配被支配の関係も、それ自体は仄めかされてもいないのだが妙にエロティック。前者の手記は極めてダイレクトだが、後者のいつの間にか取り込まれているのも逃れがたい感じがいい。このシリーズの編者が編者だけに期待して読んだんだけど、正直期待以上のものを持ってきてくれました。
2016/06/10
本木英朗
長らく謎の作家として知られていたという英国の作家サーバンの中編2編を収録した1冊。「リングストーンズ」はヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」を想起させる構成・筋書き。あちらが単なる怪奇小説に留まっていないのとは別の意味で、こちらも超異色の展開だ。怪異そのものよりも怪異にとらわれた女性が彷徨う迷宮のような心理が、幻想的な情景描写と重なって魅力を生み出している。表題作「人形つくり」は、ありきたりな筋書きに見えながらやはり女性心理の、非合理でありつつも美しい葛藤に、読み手の心は大いにかき乱され、魅かれてしまう
2016/07/01
くさてる
二編収録。一作目の「リングストーンズ」は「ねじの回転」を思わせる家庭教師と謎めいた少年の間の息詰まる謎とやり取りを描いた佳作で、ラスト近くで、ええーそんな落ちにしちゃうのと思ったわたしをみごとに背負い投げしてくれました。そして「人形つくり」は、ある種の性癖のひとには間違いなくストライクゾーンな要素がてんこもりで、わたしはまさにそういう人種なので、ため息ものでした。孤独な少女、ロマンス、謎、人形、支配と被支配、最高です。最高。
2018/12/26
かわうそ
支配と従属をテーマにしたフェティッシュなエロティシズムは今読めばかなり控えめ。退廃的な雰囲気と先の読みづらい展開の中から繰り出される幻想的な光景が素晴らしいですね。
2016/07/25
garth
「服従が勝利をもたらし、束縛が自由をもたらすとは、なんと不思議なパラドックスだろう」たいへん不思議な小説で、とりわけ「リングストーンズ」はたいへん好む人がいるのではないかと思うのだが……woman ponyでいいのかな? ともかくそういう趣味の人。
2016/06/21
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