煙が目にしみる : 火葬場が教えてくれたこと
煙が目にしみる : 火葬場が教えてくれたこと / 感想・レビュー
Willie the Wildcat
幼少期の視覚と聴覚による経験が、火葬場勤務も含めた著者の本著の”旅”の源泉。辿り着いた著者の結論の是非は、私にはまだ分からない。日米印・新嘉坡の4か国しか葬儀経験はないが、文化や家族の価値観などの差異を踏まえた死者への敬意・尊重は、万国共通という感。記載の葬儀の中では、マシュー/モーリーン夫妻と、歓送会でブルースが語った妊娠中の女性、これら2つの葬儀談が印象的。生死、根底の愛を考えさせられる。なお、蛇足ですが"stillborn"という単語は初耳です。
2019/11/02
metoo
ケイトリン・ドーティ、葬儀会社に就職したタフな若い女性。初仕事は男性の遺体の髭を剃ること。生きている男性の髭でさえ剃ったことがないのに。火葬技師見習いを経て、葬儀学校で勉強し直し、遺体搬送の仕事に就く。バンに乗せられる遺体は最大12体、一日500キロ以上をひた走る。その後、別の会社で葬儀ディレクターとして働く。タフな経験を積んだケイトリンの遺体と真摯に向き合う強いハートが葬儀会社の設立へと繋がったのでしょう。人は死ぬために生きているのなら、自分の終末を生きているうちに真剣に考えてみたい。参考になった。
2017/08/21
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
子供の頃の転落事故目撃体験から死の恐怖に憑りつかれるようになった著者。恐怖を克服するため、死と向かい合う。大学では中世史を学び、卒業後、火葬専門の葬儀社に就職。わかりやすく、時にユーモアを交えて葬儀社での体験、アメリカの葬式事情、エンバーミング、現代のアメリカ人の死についての感覚が書かれていて、とても興味深く読めた。著者の写真を見ると、まだ若い女性なのだが、現在は自身の葬儀社を経営しているという。是非、その体験談も読んでみたい。
2017/04/17
あじ
来る日も来る日も遺体と対面し、火葬業務に就くケイトリン。美しいばかりでない遺体も、ドアベルを鳴らし彼女を訪問する。死を間近に捉え日々考えていた事、彼女自身の終末をどう受け入れていくか暫定から確定への道のりを、ノンフィクションで描いた回想録。“あらゆる生物は、生まれた瞬間から死に向かって歩んでいる”。目を背けて覆いをしてしまいたい事実だからこそ、向き合わなければならない。生きることは死ぬことと直結している。生にも死にも同等の慈しみを注ぎたい。貴重な時間をもたらしてくれた一冊。
2016/10/06
oldman獺祭魚翁
『うちのネコ、ボクの目玉を食べちゃうの?:お答えします! みんなが知りたい死体のコト』の著者ケイトリン・ドーティの半生記。大学を卒業後サンフランシスコの葬儀会社の見習い火葬技師として就職。その頃の話がメインだが、後半になると著者自身の死生観が強く表れるが、彼女の主張は「死はそして死者は穢れではない」という極めて自然な考え方で、好感が持てる。しかし、全体には緩いユーモアを交え、暗くならない様にしているが、彼女自身は結構暗い人なのではないかと思わされる。
2023/01/29
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