H・P・ラヴクラフト:世界と人生に抗って
H・P・ラヴクラフト:世界と人生に抗って / 感想・レビュー
ケイ
怪奇小説は好きでなくラブクラフトは未読。本書読後にはHPL像かウェルベックを通して出来上がった。彼の精緻で客観的だが深いHPLへの愛がある考察には感心するばかりだが、HPLへの愛は起こらない。繊細で潔癖、誠実だが不寛容で頑固、激しい妄想癖を持つHPL、苦手で避けたい人だ。ひたすら興味深いのはウェルベックの考察。彼の作品は、HPLを信奉し、それを反面教師とも、それを超えようとしたところにあるのではないか。偏執狂でセックス狂、無茶なビジネスをしようとし、他の民族に服従を強いられる主人公達はまさにそう思える
2018/05/20
starbro
ミシェル・ウエルベック、先日の『服従』に続いて、2作目です。著者の処女作で、スティーヴン・キングが序を書いているので読みました。H・P・ラヴクラフトが怪奇幻想小説の古典であることは、知っていましたが、著作は未読のため、何時か『真ク・リトル・リトル神話大系』を読めたら良いなぁ!本日は、JR東日本のおかげ(京浜東北線長時間不通)で3作読めてしまいました(怒)
2017/12/16
harass
まさか翻訳されるとは思ってなかった本。比較的短いので図書館で読了。ウエルベックによる、HPLへのラブレターと序文のキングは語るがまさにその通り。HPLの作風の特異性から、HPLの短い生涯について熱っぽく断言する著者に圧倒される。著者自作の作風も語っているようだ。『振り返ってみると、わたしはこの本をある種の処女小説として書いたように思える。ただひとりの主人公(H・P・ラヴクラフトその人)が出て来る小説。伝えられる事実のすべて、引用される文章のすべてが正確でなければならないという制約を与えられた小説。』
2018/02/06
どんぐり
ウエルベックの処女作で、アメリカの怪奇幻想作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(1890-1937)を取り上げた評伝。ラヴクラフトは「恐怖と夢幻劇のさなかに唯物論を導入することによって、怪奇幻想物語という一つの新しいジャンルを創りだした」人物である。ウエルベックが好きでなかったら、こういう作家を知ることもなかったし、それで善し、として読み終える。
2018/02/06
やいっち
書店で物色してて、ウエルベックの本を発見。彼の新刊かと思ったら、2017年の刊。しかも、彼が初めて出した本だった。彼の本はほとんど読んできたのに、今頃になって本書に気付くとは情けない。休みだったこともあり一気読み。
2024/05/07
感想・レビューをもっと見る