新柳集(澁澤龍彦 泉鏡花セレクション 3) (澁澤龍彦泉鏡花セレクション)
新柳集(澁澤龍彦 泉鏡花セレクション 3) (澁澤龍彦泉鏡花セレクション) / 感想・レビュー
starbro
先日の第Ⅰ巻に続いて、第三弾、第Ⅲ巻「新柳集」です。今回は、中短編集でした。オススメは「草迷宮」&澁澤龍彦の解説「ランプの廻転」です。続いて最終第Ⅳ巻へ。トータルの感想は全四巻完読後に。 https://www.kokusho.co.jp/np/result.html?ser_id=201
2020/09/06
ぐうぐう
選集とは編者のセンスが問われる。選ばれた作品を眺めていると、編者の考えが伝わってきたりもする。けれど、選集の主役はあくまでも作品であり、編者の存在は影になりがちだ(し、そうであるべきだろう)。ゆえに、編者の存在を感じるのは、巻末に収録された編者による解題からだ。しかし、生前に企画されたものの実現に至らなかった『泉鏡花セレクション』に、編者である澁澤龍彦の解題は当然ながらない。その寂しさを少しでも紛らわそう(もしくは埋めよう)と、山尾悠子は本巻に澁澤のエッセイ「ランプの廻転」を収録してみせる。(つづく)
2020/09/04
おかだん
山尾氏も推す「ランプの回転」。流石の澁澤先生である。「草迷宮」ならずとも鏡花作品を表すのにこれ程的確な一文は二度とない。堂々巡りの甘美な地獄、逃れる気さえなく虜のまま生きる登場人物。鏡花の分身ともいうべき緩い、過去の記憶だったり母の面影だったりに耽溺する男達。決して冷淡になれず、甘やかす女達。あやかしさえも彼には挑まず、情けさえかける。生に美に抗う義清夫人の潔さに気圧される武将達も又、惑うだけの希薄な存在だと言えよう。
2021/11/15
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