火星からの来訪者: 知られざるレム初期作品集 (スタニスワフ・レム・コレクション)
火星からの来訪者: 知られざるレム初期作品集 (スタニスワフ・レム・コレクション) / 感想・レビュー
不見木 叫
表題作のやや粗暴にも思える結末が不穏。その他では「ヒロシマの男」が私的ベスト。これまで読んできた中で「似た作品」が特に浮かばないほどフォームレスな作風。詩集は訳の力もあってかレムの世界観を垣間見られる。
2023/09/15
たか
レムの初期作品集。どちらかというとファン向けかもしれないが、面白い短編もあった。表題作はファーストコンタクト失敗系で、レムが何度も書くことになる主題が既にあらわれている。火星人が最後まで得体の知れないところは良いが、切れ味はそこまで鋭くないか。『異質』物理法則は人間が決めた世界の捉え方のひとつに過ぎない。初期作品だがこの思想はまぎれもなくレム。『ヒロシマの男』1947年にポーランド人がこれを書いたという驚き。爆発の描写はさすがレム。戦争のやりきれなさと大量破壊の残酷さ、そしてサトウの言葉が痛い。
2023/07/12
はにまる
かねてから、「人間にとって異質な存在を、人間の思考の枠組みでは全く理解できない存在として描く」という点で、レムとラブクラフトの類似性を感じていたのだが、レムの最初のSFである表題作は、ホラー的描写が使われているためか、それが顕著に見える。そして解説を読み、この両者の原点はやはりウェルズなのでは、なんて思う。その他の非SF作品(「異質」は自分の中では完全にSFだが)や詩篇も、レムの創作の原点が見えて興味深い
2024/04/13
ケロたん
とりあえずレムなので。初期作品のためか比較的読みやすい。
2023/06/28
biwacovic
まさに「ソラリス前夜」というべきムードの表題作も良いが、非SFの『ラインハルト作戦』『ヒロシマの男』『異質』も良かった。戦争/虐殺の濃密な記憶が焼き付けられたような、レムの小説を包んでいる人類への認識、もっと言えば諦念がよくわかる。
2023/03/17
感想・レビューをもっと見る