迷宮遊覧飛行
迷宮遊覧飛行 / 感想・レビュー
コットン
初のエッセイ集ということで、中には読んだことがある文章もあるが、幻想文学界隈のことや個人的なことも知れファンとしては良い読書。表紙はアーサー・ラッカム『真夏の夜の夢』からで装幀はミルキィ・イソベなので安心して読み始められ、絵もあったりして500頁近いけれど一つの話題が短いので途切れ途切れに読めてかつ重くなくて端々に幻想っぽいのも気持ちいい。お得なのは、最後にラヴクラフトのパロディが読めるのです!。
2023/07/02
藤月はな(灯れ松明の火)
高校生だった頃に幻想の揺籃に微睡む事の安楽への導きとなった山尾悠子さんの初エッセイ。掌編もあります。澁澤龍彦作品、もっと読まなきゃ。憧れの作家にお逢いする機会がありつつも自身への烏滸がましさと日々の小事に流されている内に彼の人が物故していたという記述は切ない。同時にSFへの軽視を指摘する記述にこちらも軽く、憤慨してしまいました。そしてこんな魅力的なブックガイドを読むと毎度、読みたい本が増えつつも「この本、チェックしてたのにもう絶版!?何故、あの時、手に入れなかったんだ、私の莫迦!!」と愕然とするのだった。
2023/03/03
HANA
著者の作品を読むと鉱山から掘り出された宝石が加工されたもののように感じて人が加わったもののように思われなかったが、本書を読んでようやく人が書いているのだなと認識できた。読んで感じるのは先行する幻想文学、特に澁澤龍彦と鏡花への圧倒的な愛。この辺自分も影響を受ける事大なので共感しつつ読む。特に澁澤の遺稿を元に著者が編纂した鏡花コレクションのまとめが入っているのは嬉しい所。おかげで両者の特質に著者目線で解説してもらえることに。エッセイでありながら著者の小説の様でもある小品もあり、ファンとしては必読でした。
2024/05/01
榊原 香織
お、(寡作の)幻視者、山尾裕子氏のエッセイ集。表紙画、アーサー・ラッカム 幻想文学系の書評が主。珍しい処では旅行誌に書いた短い紀行文など。 京都、同志社大学時代の思い出や、住んでる岡山の話も。
2023/04/15
ぐうぐう
山尾悠子、初のエッセイ集。序文で山尾自身が述べているように、作家や本に関する内容のエッセイが多い。中でも、澁澤龍彦への言及が多く、かつ熱も帯びている。大学時代に『澁澤龍彦集成』と出会ったことがすべての始まりと書くほどに、澁澤からの影響は大きい。あるいは、泉鏡花にも何度も触れる彼女(大学の卒論は泉鏡花だったという)が、のちに澁澤も受賞した泉鏡花文学賞を授かり、さらには澁澤が生前に実現できなかった幻の選集『泉鏡花セレクション』の解説を担当することになる(もっとさらに言えば、(つづく)
2023/03/01
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