ニュ-ヨ-ク145番通り (Y.A.Books)
ニュ-ヨ-ク145番通り (Y.A.Books) / 感想・レビュー
seacalf
黒人作家マイヤーズによるニューヨーク145番通りでの日常を描写した短編集。住民の半分は働いてないし、銃や薬物が蔓延る物騒な街ハーレムならではのヒリヒリした物語と思いきや、中年男の突拍子もない企みだったり、10代男子のドタバタ恋愛劇であったり、理想と現実のほろ苦い乖離であったり、勇気ある行動に偏見ある行動等々、我々にも馴染みある普遍的なストーリー、肌の色や国境を越えたテーマを丹念に描いていて読ませてくれる。どっしりとした読後感はないけれど人生の複雑な楽しみは教えてくれる、まさにYAにはうってつけの短編集だ。
2018/04/27
くさてる
ニューヨークのスラム街に住む人々の生活を描いた連作短篇集。YAなので読みやすく、しかし内容はシビアで、やりきれないところもある。けれど、読後感は悪くない。どんな環境でも人間はだれかとつながりを持ち、それは良いことをもたらすときもあればそうでないこともある、そんな人間の普遍的な真実を描いているからかも。良かったです。
2020/05/06
星落秋風五丈原
「ビッグ・ジョーの葬式」では、他人の葬式に感動したビッグ・ジョーが自分の葬式をやってもらおうと考える。語り手の僕は、面白がるが常識人のビッグ・ジョーの恋人や、その娘は大反対。あの手この手で止めさせようとする娘の作戦と、本当の葬式だと思っている大人達との行動のギャップが面白い。しかし、嘘の死がセンターラインにあるこの作品には、本当の死がすぐ側にある事を示すように、近所で人が撃たれたと、本当に何気なく描かれている。
2003/03/24
ぱせり
ひどい街だ、怖い街だ、と思うけれど、ごく普通の人たちが、ごく普通に暮らしている。そして、(驚いたことに)この貧しさの塊みたいな町で、少年や少女は弁護士や医者を目指したりもする。この短編集、同じ人間の葬式で始まり、結婚式で終わる。逆ではない。同じ人間の、「葬式」で始まり、「結婚式」で終わるんだよ。作品の並びの粋なこと。作者からのウィンクみたいで、素敵だ。
2017/11/27
onion
ストリートの人々の悲喜こもごもが感じられる短編集。子どもが死んだり何ともいえない話もあるが、苦しみも深いけど喜びもまた深い。「モンキーマン」「あるクリスマスの物語」が好き。
2011/11/22
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