KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

解夏

解夏

解夏

作家
さだまさし
出版社
幻冬舎
発売日
2002-11-01
ISBN
9784344002685
amazonで購入する

解夏 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

とし

じわーと心が温まり、深い悲しみや優しさ、ロマンチックを感じさせ目頭が熱くなる、短編なのにまるで長編小説の様な感じのする一つ一つの物語でした。

2015/05/08

nico🐬波待ち中

さだまさしさんの歌のように、優しく温かな余韻に包まれた短編集。親子、恋人、夫婦等当たり前のように存在していた人と人との絆の破綻。それらが静かにゆっくりと再生していく過程が優しく綴られている。表題作の、失明の恐怖に押し潰されそうになりながらも苦しみから解き放たれた瞬間の、悟りを開く様がとても良かった。「解夏」…とても素敵な言葉。思うようにならず、大人も子供の頃のように泣きたくなる時もある。そんな時に寄り添い自分を認めてくれる身近な人の存在の有りがたさが身に染みた。さださんの優しい歌声が聴こえてきそうだった。

2018/06/06

めしいらず

表題作が良い。病で光を失いつつある主人公が、目を逸らし続けていた押し潰されそうな恐怖を、悔しさを、弱い己をさらけ出し、「助けて」と嗚咽する。支えてくれる愛しい人にも同じだけの重荷を背負わせていることにはたと気付き、腹を括る。そして訪れたその時を、「解夏」になぞらえ失明の恐怖から解放されると捉える前向き。それらが違和感なく伝わってくる。歌い手「さだまさし」のファンなので何となく読まずにいたけれど、予想以上に良かった。「サクラサク」も中々。「水底の村」はいろいろ詰め込み過ぎて、少々散漫なのが惜しい。

2014/05/14

とろこ

4編から成る短編集。不運や悲運はあっても、不幸ではない、ということを教えてくれる。人は、時に、否応なしに過酷な運命にさらされるけれど、それでも、その人生の中に光明を見出すことは可能なのだ、と。物悲しい話もあるが、根底に、人や人生、他者への、深い優しさが見える。表題作は、映画をDVDで観たことがあるので、その配役で脳内変換されてしまった。「秋桜」と「水底の村」が好き。「秋桜」はウルッときた。「サクラサク」は、切なかった。

2018/03/12

とろこ

再読。以前読んだ時よりも、自分も年齢を重ね、様々な経験を積んだ為か、更に心に響いた。特に「サクラサク」。親の老いと向き合う葛藤が、自分の現状と重なり合っており、グサグサと突き刺さった。表題作の「解夏」と「サクラサク」には、仏教の思想が特に強く反映されているように思う。「秋桜」も「水底の村」も、やはり良かった。逆境や不運にあっても、人は不幸だとは限らない。それらのものをくぐり抜けた時、人はより優しく、強くなれるものなのかもしれない。物悲しくも、生命を愛おしむ眼差しが通底している秀作。

2019/07/14

感想・レビューをもっと見る