愛するということ
愛するということ / 感想・レビュー
青蓮
一つの恋愛を出会いから、その別れまでを丁寧に追った作品。恋愛はあらゆる感情の坩堝だと思う。相手を恋しく思い、愛しく思い、生まれる猜疑心、嫉妬、喪失の悲しみ、苦悩、そして再生。このプロセスは相手を深く思えば思う程、困難を極めるだろう。しかし失恋から立ち直った時、見違える程その人は強くなるのだ。「人は人を愛する時、いつもどこかで本当の自分、飾り気のない自分をさらけ出してしまうのだろう。相手に見せたい自分、こんなふうに見てもらいたいと願う自分は、実は常に、中身のない、実体のない、ただの抜け殻にすぎないのだ」
2016/12/28
クリママ
直裁的な表現。出会い、蜜月、裏切り、別れ。自分の心をコントロールできない時間。あるな。でも、「愛するということ」よりも、恋するということの方が合っているような。多くの小池真理子作品の中でも、印象的な一冊だった。
2016/09/13
ann
猜疑心、嫉妬、喪失、別れ、苦悩。再生。悲しみの底にいる女性の処方箋のような作品。男と女では苦しみの質がちがう。どちらも苦しむけど。恋愛って始まりよりも終わる時に意味がある、、と。
2016/06/20
らなん
小池さん49冊目。小池さんの書かれるミステリーが好きでよく読んでいましたが、いつの頃からか恋愛小説を書かれるようになり、もうミステリー系は読めないのかと残念に思ってました。なので少し久し振りに読み始めてみると、やはり小池さんはいい。不倫で始まり、自分よりも20才近く上の女性へ気持ちが移ってしまった愛する人を忘れることが出来ず、苦しみ続けるマヤ。濃密な描写もあるのに、ノンフィクションを読んでいるかのような雰囲気が良かった。大人のための恋愛小説だった。
2020/05/19
唯月
読み応えがあり、深く考えさせられた。調べ物をしている時に、この本から引用された例文を目にして、本書を手に取った。個人的に、普段読んでいる学生間の恋愛譚と随分異なっていて、大人の本だな、と感じた。愛していた人に振られた女性の回想が描かれた後、再び現在に戻る構造。何が起こったのかと気になって、回想場面は頁を捲る手が止まらなかった。結局、愛するという事は、闇雲に対象に溺れるのではなく、息も出来ないほど溺れながら、様々な行動に移して熾火のようにじわじわと熱を持っている、ということなのだろうか。全体的に難しかった。
2024/08/28
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