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ひとかげ

ひとかげ

ひとかげ

作家
よしもとばなな
出版社
幻冬舎
発売日
2006-09-01
ISBN
9784344012325
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ひとかげ / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

『とかげ』が『ひ(火)とかげ』(サラマンダー)にパワーアップして還ってきた。物語としての力は、こちらの改作版の方がはるかに強い。ただし、それはカミソリで切り刻むような痛みを一層深くし、今にも切れてしまいそうな緊張感を極限にまで高めたということだ。また、表題は「人」が否応なく背負わねばならない「影」という意味にも読める。「私」も「とかげ」も幼時に、しかも自分の責任では全くなかった「影」から逃れることができない。2人のそれぞれのアイデンティティの所在は、それ故にこそあったのだから。

2012/06/25

てんちゃん

著者は中村文則かな?と思うほど暗い設定。よしもとさんの初期作品は死の匂いが強いですね。でもこの頃からすでに暗いなかにも、ほっこりしたやわらかさが内包されています。1993年著の『とかげ』と著者自らそれをリメイクした『ひとかげ』を収録。確かにリメイク作品の方が細かい箇所が上手く整えられていて安心して読めます。作品リメイクのビフォー、アフターを比べると著者の成熟が分かって面白いです。頁数は少なくさらっと読めます。こういう趣向はあまりないので、読んで損はないと思います。興味を持った人は読んでみてください。

2018/08/11

ミカ

【図書館】「とかげ」のリメイク作品。「とかげ」も「ひとかげ」も収録されており読み比べできます。私はどちらも未読でしたが、どちらも味があって素敵でした。 心に響いた言葉がいくつかあったのですがネタばれになっちゃうので今回は控えておきます。いや~ばななさんの作品はやさしいな。

2016/02/17

ねなにょ

『ひとかげ』を静かに味わってから、『とかげ』を読んだ。オリジナルである『とかげ』は、主人公達が、重く暗いモノを背負ってはいるものの、やはり若さゆえの元気と無鉄砲さが垣間見える。『ひとかげ』の方は、今も苦しみは続いてはいるものの、それらを彼らなりに受け入れて、ゆっくりと前に進んで生きていこうとしているのかな…と感じたんだけれど。どちらも好き。面白かった。

2015/06/03

風眠

『とかげ』をリメイクした作品。久しぶりに手に取った。リメイクしたことで物語の流れはキレイになったと思うけど、私は『とかげ』のほうが好きだなぁ・・・。確かに、職業設定の部分とかでは甘いなと思うところもあるけど、それはそんなに重要ではないんじゃないかな、と思う。それよりも、すかすかの部分に自分自身が入り込んでゆけるような、語りすぎていない言葉の使い方をしているところがいいと思う。『ひとかげ』もいいんだけど、とかげの神秘的な感じがちょっと薄れているようで、残念だなぁと私は思う。

2012/09/17

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