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彼女がその名を知らない鳥たち

彼女がその名を知らない鳥たち

彼女がその名を知らない鳥たち

作家
沼田まほかる
出版社
幻冬舎
発売日
2006-10-01
ISBN
9784344012394
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彼女がその名を知らない鳥たち / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

息が詰まるような閉塞感。飲み込まれそうな虚無感。正直、しんどい。卑屈で下品で不潔、食事の様子だけでも嫌悪感じる陣治。そんな陣治に生活を依存しながら、さげすみ、傷つけ、罵る自堕落な十和子。十和子の性を餌に使う下劣なイタチ黒崎。チープな誠実装った小賢しい水島。登場人物の誰一人好きになれないまま迎えたエピローグ。病んだ十和子とたった一人の恋人、絶望的な愛。十和子のこの後を考えると、救いの無さを感じてしまう。たっぷりの疲労感に、まほかるさんらしい物語と妙に納得。狂気と現実の断烈感じさせる情景描写→続く

2012/02/03

misa*

映画化ということで読んだまほかるさん作品2作目。「ユリゴコロ」は愛溢れるストーリーで良かったけど、こちらもこちらで最終的には愛なんだろう。ただ、出てくる人物達すべて好きになれず、中盤までは嫌で仕方なかった。謎が明るみになると同時に、気づかなかった本当の想いが綴られていて、きっと胸が苦しくなる場面なんだろうなーと冷めた自分がいました。なんだろう、これは映画にしたらどんな演技になるのかな。そういう意味で映画、気になります。

2017/11/10

風眠

下品で厭らしくて生理的にも不快なのに、こんなにも深くて心を掻き乱される「純愛」を私は知らない。十和子の独白で綴られる前半、「陣治を傷つけたい」と心の中で呪い、「死ね」と怒鳴る十和子の姿は、女の感情の醜さそのものだ。そんな十和子に対して、卑屈なまでに歪んだ愛を放熱させる陣治。自己陶酔としての愛、自己犠牲としての愛、自己救済としての、愛。最後の一文「たった一人の十和子の恋人」が、強烈に胸をえぐる。99%不愉快で、けれど間違いなく最高傑作な純愛小説。沼田まほかるは、やっぱりすごい。

2011/06/02

nyaoko

映画の予告のコピーのどぎつさに惹かれ、ならば原作を読んでみるか!と初・沼田まほかる作品。主人公・十和子は我儘で横柄で自分勝手でひたすらイヤな女、おまけに過去の男・黒崎を忘れられなくて、ズルズルと引きずるねちっこい性格。そして十和子にくっついてる汚い中年男・陣治も同じく、気持ち悪くて醜くて、二人揃って不快感100%。これは読めるのか?と不安になったものの、何故か次々ページを捲ってしまう。新しい男・水島もこれまた気持ち悪い。誰も気持ちが通ってないし、幸せじゃない。なのに惹き込まれる。まほかるの沼、浸かりました

2017/10/08

自分を利用して簡単に捨てた黒崎を思い続けながら、不潔で不快だと感じている陣治に養われている十和子。その描写に、読んでいる間中、陣治の喉に絡みつく痰のような、そんなねっとりとまとわりつくような不快感を覚え、正直何度読むのをやめようと思ったことか。とにかくどこまでも気持ちが悪い。主人公である十和子を始め、誰一人として共感できる人物がいない。どこか歪で、狂っている人たち。生きるって、誰かを愛するってこういうこと?私には分からない。陣治のラストの行動を大きな愛と捉えるべきなのかもしれないけれど、私には難しかった。

2018/11/13

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