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銀二貫

銀二貫

銀二貫

作家
高田郁
出版社
幻冬舎
発売日
2009-06-01
ISBN
9784344016835
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銀二貫 / 感想・レビュー

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しゅわ

【図書館】銀二貫で仇討を買い取る…という方法で命を救われた少年が、寒天問屋で商人としての厳しい躾と生活に耐え、新たな寒天作りに精進してゆくお話です。以前文庫本で読んでいたのですが、せっかくだからとこちらで再読。主人公 松吉にはこれでもか!?というほど苦難がふりかかりますが、前向きに、そして丁寧に生きてゆく姿に励まされます。要所要所に「銀二貫」が効いてきて、うまい構成だなぁと感心。“生きたお金”の使い方と大阪商人の心意気、そして最後の一行に感動です。

2013/06/03

七色一味

読破。銀二貫。それで命を買われた松吉、主の和助、番頭の善次郎、各々が抱える銀二貫の、重さ。度重なる大火に飢饉、大切な人との別れ──その逆境をバネに、井川屋は前へ前へと歩んで行く──。最後はただただ涙涙。何となく、光もの二貫のお寿司ネタなのかと思っていたことは、この際忘れることにする。

2013/03/02

きりこ

3年ぶりの再読。人情味溢れる時代小説です。この作品ではとても綺麗なお金の使われ方が描かれています。天涯孤独になった松吉が大人でも辛い仕事にひたむきに取り組む姿が健気。松吉が心優しい人々に見守られながら苦難を乗り越え成長していく様子や、寒天作りに工夫を重ねる姿は「みをつくし料理帖」の話と繋がるなぁ。特に和助の人柄に凄く惹かれた。情け厚くそして懐のなんと深いこと。和助の商人としての矜持・揺ぎ無い信念そして価値感が常に正しく美しい。最後の一頁は涙腺崩壊。心洗われるような清々しい読後感でした。

2013/02/14

chimako

人情味溢れる物語。武士の子が商人として、人として育つ様子が流れるような筆で決め細やかに描かれる。真冬の寒天場。江戸の町の賑い。二度にわたる大火。想像以上であろう厳しさ、ホッと胸を撫で下ろす瞬間、絶望の朝。それを経験しながら鶴之輔は松吉となり、周りの人々に愛されながら精進を尽くす。「銀二貫」それは寒天問屋井川屋の主人和助が天満宮へ寄進する大切なお金。鶴之輔はその銀二貫で命を助けられる。その後も寄進のため蓄えられた金はその時々に別の生きた使い方をされる。大阪商人の心意気を見た。涙しながら気持ちよく読了。

2016/12/11

ちはや@灯れ松明の火

銀二貫、天神さんに寄進するはずのなけなしの金で寒天問屋の老主人は侍の子の命を救った。金と情けは天下をくるりと回り始める。寒晒しの後日に干される寒天の如く、名を改め丁稚として商人の道を歩む少年の行先を何度となく遮る紅蓮の炎。業火に人生を狂わされた幼なじみの少女への一途な想い、厳しくも優しく見守る店の主人たちとの家族の如き絆、築かれる周囲との信頼関係、繰り返す試行錯誤と回り道。けれど寒天は各々の旨みを引き出しつなぎ止めひとつにする。情けのために使われた銀二貫もきっと人の世を巡り巡って幸を生みながら還ってくる。

2010/09/08

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