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魔法使いクラブ

魔法使いクラブ

魔法使いクラブ

作家
青山七恵
出版社
幻冬舎
発売日
2009-11-01
ISBN
9784344017528
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魔法使いクラブ / 感想・レビュー

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風眠

小学4年生の結仁(ゆに)は仲良しの2人と「魔法使いクラブ」を結成する。現実と夢想を区別でなかった結仁はクラスから孤立してしまう。夢をもつ事、想像する事、そういうの格好悪いって、爪弾きにする。子どもの世界ではまぁ、あることかな。そして中学、高校と進学しても、本音と建前を自分の中に受け容れられず、結仁は心を閉ざし続ける。傷ついた自尊心、壊れてゆく家族、離れていく友達。何度も修復できる機会はあったのに結仁はどこまでも逃げた。自分で歩いてみること、それが逃避という形ならば、バッドエンドのその先にはきっと光がある。

2015/01/05

しろいるか

タイトルと冒頭を読む限り、児童書みたいな感じ?と思ったけどそこはやっぱり芥川賞作家。読むにつれて暗い澱みの中へ足がずぶずぶはまっていくような気がした。第1章~3章まで、主人公の結仁の小学生、中学、高校時代を描いているのだが、1章が無邪気なら2章は孤独、3章は退廃という印象。そしてその間に家族が徐々に崩壊していく様子が恐かった。それが思春期の結仁に影響しているのは間違いないけど、あまりに前向きに生きようとしないので腹が立った。結末は思っていた通りにならなかったが、一気読みさせられる力を感じる作品だった。

2010/09/09

ようこ

大人には必ず、子どもの時代が存在する。その時代は学校と言う小さな世界の中のいつでも立場が逆転してしまうような、張り詰めた危うい人間関係や、子どもではどうしても抗えない大人の事情や、正体のわからない漠然とした不安も混じっていて、キラキラした楽しいものだけで構成されてはいない。いつの間にか、そんな不安な時代をうまくこなせるようになっていろんな事を忘れてしまった。“後回しにしているいくつもの仲直りは、どこで順番を待っているんだろう”

2015/12/29

しょこら★

無邪気だった小学生、裏を垣間見た中学生、堕ちた高校生、、少しずつ、闇に溶けていく…なんとも身体中、重くて怠い読後感。小さな物置小屋に汗に埃にまみれて篭って、幼なじみとの秘密の魔法使いクラブ。半信半疑ながらもその関係は中学生まで続いて、細い細い信じたい繋がりは一瞬で途切れる…なんだか身に覚えがあるような、残酷で濃密で刹那的な学生時代。絶望というにはおこがましいけど、それでも十代にはすごい喪失なんだよなあ。結仁は本当は誰よりも寂しくて堪らなかったのに、たった一言、素直になれたら…それができなかった彼女。憐れ…

2012/07/06

あつひめ

そういえば子供の頃黄色のワーゲンを見るといい事があるなんて言ってたっけ。子供の頃って無邪気で悪気なくストレートにものをいうお姫様タイプっていたよなぁ。その頃から人の家と自分の家を比較することを覚えたり。それがいつの間にか身について大人になってしまう。仲良しだと信じていたこの3人もやはりどこかで気詰まりな部分も抱えていても本音を吐きだせないときもあったのかも。本当の青春ってこういう後味の悪いものを言うのかもしれない。最近流行りの視点を変えての見方で解釈したらどんなふうに展開していくだろう。葵や史人だったら。

2012/02/08

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