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時の尾

時の尾

時の尾

作家
新藤晴一
出版社
幻冬舎
発売日
2010-05-14
ISBN
9784344018211
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時の尾 / 感想・レビュー

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紫伊

久しぶりに再読して思ったのはこれは作者の好きな世界観と物が詰まっているのではないかということ。内戦で生き残った元少年兵のヤナギ、友人トモヲ。娼婦として生きるユリ、そして寂れた街で生きる人たち。それぞれ暗い過去がありどこか淡々とした印象。でも大切なもの、手放したくないものは確かに在って。それを掴もうとする少年とその姿に感銘された彼女が印象的だった。好きなのは徐々にバイクが出来ていくところ。それは祈りにも近かったのかもしれない。ラストの爽快感も気持ちよい。

2020/01/18

きき

ポルノグラフィティ・晴一さんの処女作。内戦直後の荒廃した街で暮らす元少年兵・ヤナギが主人公の物語は、どこか「カルマの坂」の世界観を思い浮かべる。晴一さんらしい言葉の並べ方は痛々しい現実と艶かしい幻想を混ざり合わせ、混沌とした雰囲気をくっきりと描いている。幼い頃に別れた姉との再会を胸に生きるヤナギの日々は必死さも無くただ諦めが入り混じった陰鬱としたもの。それは彼を取り巻く人々も同じなのだけど、段々ヤナギすらも気付かない内に、彼が周囲に「生きる意味」をもたらし、細やかに、でも確実に活気付く様子が不思議だった。

2020/01/02

紫伊

芸能人などが書かれた本は作家には勝てないのではないかという偏見があり、敬遠しがちだったのですが、ポルノグラフィティの晴一さんの作詞がすきなので手を出してみました。好きな世界観の一冊でした。戦後、戦争の傷跡を抱える少年少女たちが主人公で大人のようには順応できずあがく姿が切なかったです。何人かの目線で描かれ、それぞれの目に映る世界はどれもつらい世界でした。しかし、その世界で生き抜く姿はかっこよく、物語の勢いと一緒に一気に読んでしまいました。いろいろな方が言われていますが「カルマの坂」の世界観に似ているなぁと思

2014/09/15

★★★★☆《見る、でも、見ない、でもなく、存在から目を背ける。》長い紛争が終わり、売春婦のボディーガードをしている元少年兵・ヤナギ。旧市街の隅で貧しく暮らす彼には、忘れられない人がいたー ポルノグラフィティ新藤さんのデビュー作。薦められて読みました。句読点が多かったりして読みづらい部分もあったけど、慣れてきてからは引きこまれた。カルマの坂とリンクするところもあって、歌詞との違いを楽しめました。それぞれが、しっかりと明るい未来を手にしているといいな。

2018/03/24

紫苑@低浮上

上手いとは言えないけどやっぱり晴一さんは筋金入りの春樹チルドレンだなぁと思う。好きな作家に村上さんと伊坂さんを挙げるぐらいだから無理もないな。最初はあらすじだけ見て「カルマの坂」?と思ったが実際読んだらカフェイレで本人が言ってた通りあれとは違った。本よりは歌詞やブログの言葉の方が好き、かも知れない。本になると何故かどうしても文章の齟齬を一々探して重箱の隅をつついて粗探ししてしまうから。でもゴーストライター使ってない証拠ですね。

2010/05/29

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