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吉原十二月

吉原十二月

吉原十二月

作家
松井今朝子
出版社
幻冬舎
発売日
2011-01-01
ISBN
9784344019348
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吉原十二月 / 感想・レビュー

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財布にジャック

「吉原手引草」が物凄く好きだったので、一も二もなく手に取りました。今回も吉原の様子が松井さんの素晴らしい筆力によって、頭に浮かんでくるようで、流石です。小夜衣と胡蝶という二人の花魁に焦点を当てて書かれていて、幼馴染でもあり、そしてライバルでもある二人の生き様は潔くて素敵でした。今回はミステリー仕立てではなくて、その点だけがちょっと残念でしたが、最後の師走を書いた短編は特に読み応えのあるお話でした。松井さんにハズレなしです!

2011/09/11

kishikan

松井さんといえば、「西南の嵐」のように維新の話を始め、なんと言っても歌舞伎ものという感があるが、今回も直木賞受賞作「吉原手引草」に続く吉原もの。再び妓楼「舞鶴屋」を舞台とし、今回の語り部は主人の庄右衛門。幼い頃から育て上げ、禿、新造を経て終には店の二枚看板まで上り詰めた二人の花魁の生き様を描く。性格や容貌も異なるこの二人のライバル心や嫉妬、花もあれば地獄も味わう郭の世界、恋やせつない別れなど、当時の社会情勢も踏まえて描き出している。物語は12月の章立てとなっており、歌舞伎の戯曲のような題名もお見事!

2011/03/31

greenish 🌿

妓楼・舞鶴屋で、容貌も気性もまったく異なる2人の娘が激しく競り合いながら、小夜衣・胡蝶と名乗る花魁に成長。生きて出ることさえ難しい苦界で大輪の花を咲かせるのはどちらの花魁か。楼主がいざなう吉原の十二月。  ---『吉原手引草』同様、問わず語りで物語が進む。『-手引草』は吉原に纏わる様々な職業人が語り手であったが、『-十二月』は楼主の独り語り。中盤やや単調な感はありながら、小夜衣・胡蝶は「そんな花を咲かせましたか!」という結末は小気味いい。花魁と客人との粋な人間模様、吉原での春夏秋冬の風情を堪能できた一冊。

2013/07/03

まど

楼主が、お職を張る呼び出し昼三の対照的な二人の妓を通して、吉原の12ヶ月を語る物語。季節の移り変わる様子や、遊郭の風俗やしきたりがとても面白かった。人情あふれるお客さんとの交流も印象的。あっと驚く二人の最後もさわやかでよかった。「手引き草」とは違った面白さ。「手引き草」がお好きな方にオススメします。

2011/06/03

nyanco

光源氏が若紫を育てるように幼い禿から飛び切りの花魁を育てあげられた小夜衣と胡蝶。松井作品なので、吉原の当時の様子が手に取るように楽しく読める。タイトル通り、十二ヶ月の月々の行事についての記述も面白い。火花を散らしあう二人だが、年を経て相変わらずNo.1の小夜衣に比べ、遂に若手の台頭でNo.3に下がった胡蝶。花魁道中では、No.2の唐琴を間に挟み、小夜衣はわざとゆっくりと、胡蝶は足早に…とタッグを組んで意地悪をするシーンは、ライバルでありながらも苦楽を共にした戦友…という彼女達らしいエピソードでした。続→

2011/02/12

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