リトル・ピープルの時代
リトル・ピープルの時代 / 感想・レビュー
Miyoshi Hirotaka
ポップカルチャーも世界の構造変化を反映する。ウルトラマンが怪獣を倒した時代は善悪が明確で絶対的。一方、仮面ライダーと敵の怪人は両方ともショッカーの人造人間。一方は人間に味方し、世界征服という「物語」を阻止する。正義と悪は態度の違いになり、相対的になった。これがリトル・ピープルの時代。ところが、連合赤軍やオウム真理教のように単独で暴走するだけでなく、テロのように連鎖的に発生し、衝突するようになった。貨幣と情報があれば、誰でも「物語」にコミットできる時代。「物語」の相互関係の調整こそ文化が立ち向かうべき課題。
2015/04/21
蘭奢待
ジャケに惹かれて以前購入したが、結局パラパラと拾い読んだだけで手放した。故に読んでないけど登録しておく。このゼロ年代の人たち、思想家、評論家、哲学者を自認してる人たちがことごとく苦手。浅い極論を振り回し、ネット上での炎上を至上とするかのようなゲンロン。この著作もサブカルに徹するならともかく、変に理屈をこねくり回してるだけの印象。好きな方には申し訳ないです。
2019/10/12
Willie the Wildcat
価値観の変化。倫理観、道徳観、秩序、義・・・。外因、内因を歴代ヒーローに置き換える。変化を促す事件や、技術革新などの社会現象。変化の象徴は、コスモスと王蛇。前者は、退治ではなく”保護”。後者は、道理ではなく”欲”。人間の弱さでもあり、本質を表す。価値観の多様化故の混沌さに、自我や生を問う。戸惑いながら、苦悩しながら見つめる自身。人の”糊代”に創造が宿る・・・。蛇足ですが、コスモスの最終回は最も印象に残る。心に響くんだなぁ・・・。是非ご鑑賞を!(笑)
2013/05/20
ロマンチッカーnao
村上春樹さんの『1Q84』を読んだときにビックブラザーの時代は思った。もう現れることはない。これからはそれぞれに意思をもったリトルピープルの時代とありました。それ以来ずっと気になっていたことが、この本でよくわかりました。とても興味深い内容でした。
2016/11/25
ヨクト
まずは装丁が素晴らしい。流石は鈴木成一デザイン室。ちょっと前になるが、世界的ブームとなった村上春樹「1Q84」を主として、戦後から現代までの移ろい行く世界を考察する。また、ウルトラマン、仮面ライダーシリーズから世界の変容、正義の在り方の変化を論じる。村上春樹の話は正直理解不足であるが、仮面ライダーの話についてはぼくもその世代であるため、面白く読めた。なるほど、だから仮面ライダーは面白いのかと。奥が深い。また、補論で論じられるバットマン「ダークナイト」もかなり興味深く読めた。
2014/11/25
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