ここは退屈迎えに来て
ここは退屈迎えに来て / 感想・レビュー
ヴェネツィア
「読書メーター」でこの本の存在を知った。長編小説だとばっかり思っていたが、8つの短編からなる小説集で、その全体に付されたタイトルが『ここは退屈迎えに来て』。まず、このタイトルが秀逸だ。装丁、カヴァーのセンスもいい。幻冬舎からの刊行だが、タイトルと造本は編集者の功績かとも思われる。さて、内容はといえば、おおよそは期待通りだったとも言えるし、それを上回ることはなかったとも言える。田舎町でのどうしようもない閉塞感の中で、もはや可能なことは、「もしも自分がアメリカに生まれたら」といった空想しか残されていないのだ。
2014/04/27
☆ぉりん☆
地方都市に生まれた女の子たちが、ため息と希望を落とした8つの物語。女の子がたくさん出て来るんだけど、椎名っていう男の子で繋がってる。なんでも卒なくこなして、輪の中心にいる男の子いるいる。車がないと移動出来なくて、ファミレスがやる気のない若い子の溜り場になってるところとか、実家の町にすごく似てる。あんまり希望に満ち溢れてなくて、なんか楽しいことないかなー、みたいなところがリアリティあんるだろうけど、勿体無い時間過ごしてるなーって思っちゃう。かく言う自分はどうなのか全く自信ないけど。
2014/02/21
Yunemo
こんなものなのですかね。女性の心情、地方も田舎もないんじゃないの。と言うのが、最初に頭に浮かんだ感想。ちょっと寂しすぎる情景を強調し過ぎの感。情景の描き方がリアルだからそう思うのかも。そうは言っても、全体的には良かったんですよ。若くても、ある程度の年齢になっても、皆が持つ孤独感が身に沁みます。女性の半端じゃない孤独感をここまで表現できることに、改めて良さを感じます。ラーメンズのDVD、私は好きです。
2014/02/02
なゆ
スイスイ読みやすいんだけども、読みながらいろいろ思い出しちゃしみじみしてしまう短編集。そうそう、なんか東京はキラキラ楽しいことがいっぱいな気がしてたあの頃。それに比べてこの地元ときたら…って友達と愚痴りあって。懐かしさとともに切なさも感じる。なんであんなにジタバタしてたんだろうって今なら思えるんだけどね。各話でちょこちょこと、人気者だった椎名くんの青春を遡っていくというオマケな楽しみもあって、私はそっちの方がしみじみできて好きだったな。いや実は椎名が影の主人公だったりして(笑)
2018/10/01
ネギっ子gen
都会からUターンした30歳、焦って結婚相談所に駆け込む友だち同士、処女喪失に奔走する女子高生などなど――ありふれた閉塞感漂う地方都市で、どこまでも続く日常を生きる女の子たちを描いた、8つの短編小説。その8つの中に同名の小説はないが、全体を総括した書名としては、訴求力のある良い題だと思った。袖の著者紹介に、<「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞するも、本を出せない不遇の時代が続き、みんなに心配される。本作がやっとやっとのデビュー作!>とあるが、本作は結構あちこちで称賛され、2018年映画化も。⇒
2021/03/04
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