日輪の賦
日輪の賦 / 感想・レビュー
藤枝梅安
讃良大王(持統天皇)の時代、律令を完成させようとする讃良とそれに反対する勢力の暗闘に巻き込まれていく若者たちの物語。亡くなった兄・八束の後を追うように、和歌山から奈良・藤原京に出仕してきた「廣手」と八束の恋人だった「忍裳」を中心に、「私刑ではなく、律に従って罰せられるべき」という思想や、「律令により、王の独裁体制から官吏が運営する国家へ」という形態の萌芽を描いている。「日本」という国名や「天皇」の呼称の由来にも触れられている。後の不比等の専横を予言する言葉も出てくる点も興味深い。歴史教科書のような小説。
2014/12/28
さつき
持統天皇の時代を描いた小説は色々ありますが、この作品は権力者が主役でなく、我が国初の体系的法典を作ることに邁進する官吏たちがメイン。真っ直ぐに育ち裏表のない廣手。在唐25年の留学生、宝然。天才的な工匠の五瀬。男装の麗人、忍裳。一人一人は小さな人間が、新しい世の中を作るために、それぞれの場所で力を振り絞る様子は胸が熱くなりました。特に日本という国号が生まれる経緯はやはり感動的でした。
2018/05/17
ゆりあす62
図書館本。★★★★☆ 讃良大王(持統天皇)の時代、倭ではなく新しい国、日本(ひのもと)としていずこからも攻め込まれぬ国家をめざし、律令編纂に心血を注いぐ男達。讃良大王は女でありながらも全ての責任と、宮城に渦巻く反対派を鎮め編纂を進める。大事を成す時男達は、個人的な恨みや、能力のある者への妬みを全て捨てて、名も無き一人の官吏としてその仕事を全うした姿は清々しい。
2016/02/28
BlueBerry
面白かったです。歴史を追うために書かれている部分が多くて、その点は疲れました。それが無ければもっとサラッと読めるのに・・・。逆に言えば歴史の勉強にはなりますね(笑。ストーリー自体を見れば単純なお話です。私も最初は取っ付き難かったけれど読み始めれば割とスムーズに読めました。お勧めできると思います。
2013/06/04
クサバナリスト
NHK『歴史ヒストリア』で持統天皇の放送を観たのをきっかけとして本書を読了。大宝律令、名前は知っていても、どうしてこれを編纂しようとしたのか?などは全く知らなかったのでとても新鮮だった。この時代の他の作品をもっと読んでみようと思う。
2015/07/05
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