私たちはどこから来て、どこへ行くのか
私たちはどこから来て、どこへ行くのか / 感想・レビュー
Y
ページ数以上にボリューム満点な内容。聞きなれない専門用語などが数多く出てくるが、とても的を得ている上にわかりやすい註釈がついてるのでそこまで置いてけぼり感をくらうこともなかった。1996年のある時点を境に自己のホメオスタシスが重要化されるにつれ、自己防衛に役立つのであれば現実も虚構も等価な素材として享受されるようになって、オタク差別も薄れていったという話が興味深かった。システムに過剰依存することによる弊害が長々と述べられていたが、震災を引き合いに出している箇所が特に切実に響いた。
2014/04/17
壱萬参仟縁
ポストモダンとしての終わりなき日常(46頁~)。原発はコスト、リスク、環境的に非合理(51頁)。宮台先生がエアコンの壊れた教室で学生たちが窓を開けないため開けさせた。明けない理由は、共通前提の空洞化という(52頁)。結果的に、終わりなき日常は永遠に終わらない(72頁)。逆説的だがそれが真実なようだ。アリストテレスの良い社会は、徳のある 者が溢れる社会(263頁)。徳とは内から湧き上がる力(264頁)。社会は人間活動に由来する不透明な全体性(286頁)。
2015/03/26
しーふぉ
社会学を勉強した人なら誰でも知っているはずの宮台真司の本です。難しい単語がたくさん出てきます。ガン黒ギャルは男性から性的な目で見られなくするためにしていたという説とか本当かな?
2017/07/01
nbhd
曰く「地域住民と役所が手を組んで店舗型風俗を撲滅したことによって、そのしわよせが派遣型風俗に…結果、従事する女性が性病と暴力にさらされる機会が増えた」。あいかわらず激しくスマート。宮台社会学の総括的な本、難解、個人がどうのこうのというよりシステム志向。結論的には、住民投票運動のような設定によって、個人の自立性を育む、みたいな。自分自身のどうしようもないメタ・メタ・マインドに悩まされている身としては、ノルベルト・ボルツの「サードオーダー」=距離化総体からの距離化という考え方は有効な処方箋になりそうだ。
2014/03/16
九曜紋
宮台社会学の集大成。政治、経済、社会等と、その背後にある哲学はもとより、サブカルに至るまで、ジャンル横断的な該博な知識にはただただ感服するが、相変わらず難解(苦笑)。講演や講義を文字に起こしたものだが、視覚を駆使しても難解なのに、聴覚のみで理解しなければならないとすれば、さらに難しいな、と。3.11大震災により、「終わりなき日常」は終わった、との論調が溢れたが、この言葉の主唱者として著者は「終わっていない」とのこと。ここ、注目。
2015/04/15
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