がらくた屋と月の夜話
がらくた屋と月の夜話 / 感想・レビュー
ひめありす@灯れ松明の火
歌を忘れたカナリアは、月夜の晩に歌を思い出す。つき子に出会って、閉じていた親子の物語が思い出された。角に翼。傷つけ遠ざける為に異形となったのは野兎。それとも貴方の記憶?タイムテーブル、アンティークレース、月のない地球儀、一本きりの椅子の足、迷子のドッグタグ、偽物のトワエモア。ぼろぼろのヴォルペルティンガー。がらくた?いいえ、私はブロカント。高級じゃないし、骨董でもない。だけど、大好きな人の傍で一緒に生きる時間を過ごしてきたの。誰かに大切に扱われた物語を、私達はみんな持っている。胸を張って言うわ。私は、私よ
2015/10/26
nyanco
『プロカント』、最近マルシェなどで見かけるおしゃれなものたち、そんな素敵なお名前だったんですね。アンティークほど古くない、「オシャレながらくた」という意味らしい。一本だけの椅子の足、レースの切れ端など、役立たずの古道具にしか見えないものたち、しかし以前の使用者たちの想い出がつまったもの、そのものには巡り合うべき人がいてそんな人が訪れのを待っているガラクタ屋。谷さんらしい素敵な設定、ものに想い出がある、という点は時計店などと共通していますね。続→
2015/09/23
ちはや@灯れ松明の火
月の光が降る夜は物語をかなでましょう。わたしを手にしたあなただけにささやくように。いくつもの国を旅したタイムテーブル、幸いの鳥を編み込んだメヘレンレース、今はもうガラクタと呼ばれていても。海を渡ってきたチャーチチェア、帰る家を教えてくれたドッグタグ、誰かの大切な思い出が宿っています。時の流れでついた傷も、人がふれた跡の汚れも、世界にひとつだけのしるし。月を探していたトワエモア、家族がほしかったヴォルペルティンガー、にせものでもあのひとには宝物でした。天と地を月の光が満たす夜、新たな物語をつむぎましょう。
2015/11/27
ぶんこ
「持ち主のないガラクタと、それに価値を見出した人との出会いは、なんて幸福なのだろう」との言葉が印象的でした。 何でも捨てる方なので、つき子さんが河嶋さんの家のガラクタを片付けていく様子が、自分が片付けている気分になって、気持ちいいだろうなと思ったりしました。この本の前に、江戸時代の付喪神が出てくる小説を読んで、古い物には物語が在ると信じていただけに、物と一緒に物語を売るというのは素敵で、自分も経験したいと思いました。深く考えると、結構勝手な親達がいたのですが、つき子さんや天地さん、河嶋さんで癒されました。
2015/11/05
hirune
この前に読んだ本は隙間もなくガラクタが詰め込まれた江戸時代の古道具屋で怪談でしたが、こちらは現代のブロカント雑貨を扱うガラクタ屋敷の骨董屋さん。夜の児童公園で大きなトランクに詰めた古いものたちとその物語を売っている老人です。複雑な鬱屈を抱えた客がふと心惹かれた物を買うと、語られるその物語に不思議と気持ちを解放され明るい方向を向ける、ハートウォーミングなお話でした。つき子さん、黒木華さんのイメージで読みました♪
2016/06/01
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