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情人

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作家
花房観音
出版社
幻冬舎
発売日
2016-10-06
ISBN
9784344030114
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情人 / 感想・レビュー

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starbro

花房観音は、新作中心に読んでいる作家です。私小説的半生記、いつもの[京都+エロス]は少な目、著者はこういう小説も書くことを認識しました。性愛に溺れるのは、羨ましいようで辛いかも知れません。『情人』は欲しい気もしますが・・・【読メエロ部】

2016/11/29

おしゃべりメガネ

かなりヘヴィな作品でした。花房さん作品なので官能カラーは予測してましたが、思ってた以上にドストレートに性描写のオンパレードでした。1995年の阪神震災と2011年の東日本大震災の時系列の間に繰り広げられる一組の男女の性の交わり。ただ単純にエロさが前面に出てくるだけの描写ではなく、女性目線の性に対する衝動などがかなりのインパクトで描写されています。もちろん、本作の主人公「笑子」やその相手「兵吾」には賛否両論あるかとは思いますが、ここまでセックスに対し真っ向勝負な作品もスゴいなと、ある意味素直に感じました。

2023/01/28

じいじ

 序章からいきなり官能の世界に導かれる大胆な全体構成に度肝を抜かれる。本編は花房流の性描写に加えて、筋立と登場人物のキャラづくりに上手さと面白さが際立った作品だ。駆け引きなしに本音で生きる人間と、本音と建て前を器用に使い分ける人間の対比が面白い。性欲の赴くままに男性遍歴を繰り返す主人公・笑子には共感できないものの、どうしても憎めずに愛らしささえ感じた。女の情念、恋人でもなく、愛人でもなく、友人でもない―まさに情人との快楽だけを貪る淫らな「性愛」を描いた、花房観音の力作だろう。

2016/10/13

モルク

花房観音さんにしては珍しく、舞台が京都ではない。震災前後の神戸そして東日本大震災前後の東京。阪神神戸大震災の際、母親が抱き合っていた男と、東日本大震災が起こったとき娘笑子は抱き合っていた。孤高の兵吾の悲しい性(さが)と笑子母子の業。恋人でも愛人でもなくセフレでもない『情人』という言葉に笑子は逃れ、正当化する。男と女ははけぐちか、きれい事ではないが、もっと崇高なものだと私は思う。夫である樹に共感。

2017/07/08

のんすけ

花房観音さんの書く小説の中の女性は、とても奔放にみえて臆病でまじめで淫らだ。心の隙間を埋めるため、何も求めず責任も持たない男との交わりに喜びを見出してしまうメスの自分。阪神淡路大震災から自分の未来に希望を持てなくなってしまった主人公が、先に前を向いて歩き出す周囲との違和感から孤立していく様は苦しくなるほど。読みながら疑似体験していくうちに、自分の中の常識すら歪んでいく。怖い物見たさもあってあっという間に読んでしまいました。この年代の喪失感もわかるだけに痛かった。

2017/04/02

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