ゴーマニズム宣言SPECIAL 新・堕落論
ゴーマニズム宣言SPECIAL 新・堕落論 / 感想・レビュー
mitei
坂口安吾の堕落論から取ったタイトルに今の日本社会に過去から続き蔓延する堕落について書いた一冊。著者の作品には毎度毎度新鮮な驚きがあるが、今回もじっくり読めた。ネットやスマホの話、米軍基地、憲法、天皇と他のどの識者、評論家、学者からは感じない著者自身が考えて言葉にした魂を感じた。今でも日本は独立国家になれずいつなるのだろうかと不安もあった。
2018/01/24
ちさと
テーマは「もうどうでもいいじゃん症候群(堕落)」村の掟に従わない者は村八分!な現代日本には激しく同意。小林さんは本書で共謀罪に噛みつかない国民を堕落の象徴としてかなり大きく取り上げていますが、テロがおきれば野党が吠えるし私たちは政治家をなじる。法的にどうやって防ぐかを誰かが提案しなければならないと思う。ある程度の制約や不自由を甘受する必要があるし、共謀罪が怖いなら危険なことを考えない、危険な政治家には票をいれないこと。むしろシステムに依存してリスクを無くそうと言うことが堕落している。
2019/03/06
Y2K☮
好きな芸人がいた。俺にはお笑いしかないと豪語し、挑戦的な番組を創り続けた。TV局に逆らい、事務所を批判し、ライブが赤字になろうと信じる道を追求した。表現者の鑑。だから彼の安保法制や共謀罪に対する発言に失望した。この変化は成長ではない。堕落だ。でも当人は無自覚だし周囲は礼賛。太宰や漱石は違う。どこかで踏み止まり、世間の同調圧力にも屈しなかった。著者もそう。なぜか。己の弱さ、堕落を自覚したからだ。自覚があれば歯止めが掛かる。戦う術も見出せる。いい加減気づこう。平和は与えられるものじゃない、自らの手で守るもの。
2018/01/29
ころこ
タイトルを安吾の『堕落論』からとっています。『堕落論』もアイロニーですが、本作も、もちろんアイロニーです。堕落を認めるところから再生の道が開かれる。対米追従の戦後社会は堕落である。ネトウヨのいっているような親米自民政権を否定し、戦後の資本主義化やグローバリズムを否定し、独立国となることや地域社会を守ることが真の保守である。何を保守するかを考えろ、といっています。以前からいわれていたことですが、キャラクターの図像が何を表象しているのかが気になります。米軍人はヤンキーとして描かれ、野党や周辺の知識人は善人に、
2019/02/27
みのくま
学生の頃に坂口安吾「堕落論」を読んだがあまり印象に残らなかった。それは坂口の「堕落せよ」の意味がわからなかったからだ。しかし30歳になり坂口の言っていた事が、本書を通じてようやく腑に落ちた。人間は必ず堕落するが、それに気付ける人間も少ないという事なのだ。ぼくは学生時代と今との違いは、堕落している自覚があるかないかである。ぼくは堕落を自覚した事で初めて坂口の言葉が胸に刺さった。本書は、現代の堕落した事すら自覚できていない日本人に、坂口安吾「堕落論」を蘇らせる事で覚醒を促した書である。堕ちぬく事で浮上できる。
2018/01/26
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