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まだ人を殺していません

まだ人を殺していません

まだ人を殺していません

作家
小林由香
出版社
幻冬舎
発売日
2021-05-26
ISBN
9784344037953
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まだ人を殺していません / 感想・レビュー

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さてさて

『人間は誰に出会えるかで、大きく運命が変わる生き物だ』。この作品では、それぞれの運命を、出会った誰かに翻弄されてきた登場人物たちが、悩み苦しむその先の人生が描かれていました。『良世は、お姉ちゃんが命がけで産んだ子だから』と自らの元で育てていく翔子の苦悩を描いたこの作品。何かを隠しつつもそんな翔子のことを新たな身内と思う中に大人へと苦悩の中にも階段を上がっていく良世の成長が描かれるこの作品。「まだ人を殺していません」という書名の響きが、読後別物に変わる瞬間を見る、重量級の重さを持つ、切なく、深い物語でした。

2023/04/05

しんたろー

尊敬していた姉は早世し、その夫が殺人犯として逮捕され、甥っ子の良世を預かる事になった翔子…「家族とは?」という大きなテーマに、被害者家族&加害者家族、いじめ問題、ネット社会の功罪など社会性をいつもながら盛り込んだ著者らしい内容は、今回も重いのにグイグイ読まされる。それは翔子の心情を丁寧に描いているのと、良世がミステリアスで哀しい存在だからだろう。「自分なら?」と考えさせられ、胸に迫るシーンも多く、台詞選びの妙と構成の巧さも光っていた。ミステリ要素は決して強くはないが、丁度良い塩梅になっていて楽しめた。

2021/07/16

nobby

人殺しの父親を持つことで“悪魔の子”と呼ばれ、また出生とともに迎えた喪失から“人を不幸にする”など責め立てられ…その痛々しい仕打ち故か、あるいは器質なのか、人に動物に対する残虐行為は目を覆うばかり…それでも彼は『まだ人を殺していません』それは確かだ…直接も間接も問わない誹謗中傷に憤りつつ、一方で「この世界に同じ気持ちを抱えた仲間がいることを忘れないでください。」と寄り添う存在があることにホッとする…生まれてくる子に罪や選択肢はないのだから、少なくとも「あなたに出会えてよかった」と思える時代であって欲しい…

2021/07/03

ムーミン

人を育てること、理解すること、そのために必要なこと。いろいろなことを考えさせられました。涙腺が緩んだり、胸が締め付けられたり。中盤からの展開は、このまま終点かと思いきや急降下するような、まるで暗闇の中を疾駆するスペースマウンテンに初めて乗ったときのような感覚でした。

2022/02/23

吉子

人を殺した殺人犯の子供を、偏見なしに見守り育てる・・私ならできるだろうか。ちょっとした行動と表情が異なるだけでぞっとする、描いた絵に猟奇的さを垣間見る、不自然な丁寧言葉、そんな中で子供を信じるどころか、疑ってしまう自分がいた。親から「不幸を呼ぶ子」と罵られ、生まれてきた意味を見いだせなかった少年。これからは翔子からの愛を受けて人に危害を加えない大人に成長してほしい。

2022/01/22

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