かんむり
かんむり / 感想・レビュー
starbro
彩瀬 まるは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 十代の出会いから70歳代の死別までの夫婦の物語、気持ちが変わるのは当然で半世紀以上夫婦が持つだけで偉い気がします。エピソードを駆け足で綴っているので、もう少しボリュームがあった方が良い気がします。 https://www.gentosha.co.jp/book/b14571.html
2022/10/07
fwhd8325
ある程度の年齢の読者は、この物語に自身を重ねているのだろうと思います。とても力強く、そして繊細な物語でした。人は後悔の連続の中で成長していくものなのだろうか。捉え方は性別によって異なるのだろうけど、どっか根っこでは通じているようにも感じさせてくれます。他人にかんむりが見えるように、誰かが自分にかんむりがあることを見ているように思います。
2023/01/11
のぶ
夫婦のひとつの愛の物語だった。本作に登場するのは加々見虎治と光の夫婦。二人は元同級生で、間には新という子どもがいる。前半部は子育てに関わる平凡な毎日が描かれていて、子どものスイミングスクールやら、何気ない描写が続き、この前半部はやや退屈に感じた。後半に入り、話は夫婦の問題が前面に出てくる。白か黒か、とはっきり選択できないことや、する勇気が出ないこと、後悔しそうなこと、既に後悔していること、そんなひきつれた気持ちに襲われる瞬間が山ほどある。ラストの部分は書かないが、一つの生き方を提示してもらったようだ。
2022/09/26
いつでも母さん
『ああ、彼は二人でたくさん散らかした欠片をなるべくきれいにスーツケースにしまおうとしている。話し合ってなにかを変えようとする時間の終わりがとうとう来た。』一番すんなり受け入れられた感情がここだった。ある夫婦・虎治と光の話。夫との付き合いが生涯において一番長く深いと思う私にも、頭のどこか・・心の何処かで確認してしまう感情がある。敢えて口にしなかった言葉たち。今更目の前にさらけ出したりはしない。これは私の中だけのことなのだ(いや、夫も同じだったりして)そして、それは案外と面白い揺れだったりもするのだ。
2022/10/09
とろとろ
妻が語りとなって、夫の馴れ初めと息子の独り立ち、やがて死に至るまでの淡々とした話。読み終わってから、で、なんの話だったのだろうかとあれこれ考えてみたのだが、なんだかよく判らない。自分が自分で良いと思えば誰が何と言おうと良いのだ、ということかしら。自分のかんむりをもつと言うことは、意味通りに冠をかぶっているのは自分なのだから自分のことを判っていればそれでいい、人生何が起ころうとも胸を張って生きていければいいと…?。哲学的な人生論みたいな話だったのかしら。「それでいいのだぁ♪、ぼんぼんバカボンバカぼんぼん」。
2023/03/24
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