はるか、ブレーメン
はるか、ブレーメン / 感想・レビュー
starbro
重松 清は、永年に渡って新作を読んでいる作家です。本書は、ノスタルジー家族走馬灯ファンタジーの感動作でした。終活は、ブレーメン・ツアーズにお願いしたい。本書の舞台は、山口県周南市でしょうか❓ https://www.gentosha.co.jp/book/b14924.html
2023/04/20
hiace9000
作者自身の「現時点での人生観」の投影にも思える重松作品。本作もまた然り。夢叶わずとも、もし夢に辿り着けずとも、幸せはきっとある。"臨終の瞬間に人は自分の人生をどう受け止められるか"、おそらくそこが重松さんの今、なのだろう。悔いのない人生などない、思い出そのものより、それを持ったまま生きてきた歳月の方が重いーという受け止めは、人の弱さやさみしさ、失敗までもを優しく肯定してくれる。記憶し、忘れ、懐かしむ…。未来ある高校生たちを主人公としながら、ある程度年齢を経た大人達に、改めて人生の来し方を見つめ直させる。
2023/07/11
いつでも母さん
泣かせる重松ワールド全開だった。ファンタジーだけどどっぷり浸って読了した。走馬灯を描く仕事『ブレーメン·ツアーズ』なんて··最期に何を見ただろう。最期に何を見るだろう。気になって仕方がない。大切な思い出が正しい思い出とは限らない。辛くても大切な思い出はある。幸せな思い出と、幸せそうな思い出は違う··嗚呼、重松さんの紡ぐ言葉が私の心をザクザクと滅多打つ。16歳の遥香と、友人ナンユウの家族の話が私の涙腺を刺激する。走馬灯に正解なんて無い。確かめる術も無い。
2023/04/30
モルク
母に捨てられ祖母に育てられた遥香。高校生となり祖母が亡くなり一人で暮らす。人生の最期に見るという走馬灯をコーディネートする会社ブレーメンツアーズ葛城と出会い、友人ナンユウと手伝うこととなるが、遥香とナンユウにはある能力があるらしい。私はどんな走馬灯を見るのだろう。父母や子供との思い出、そして夫との生活…学生時代の夏休みに帰郷した時、土曜日の夕方に父と散歩に出かけ途中で焼鳥とビール…店の人にお嬢さんですかと聞かれ嬉しそうだった父、父の亡くなる1年前の出来事、その時のことが浮かんだ。色のついた思い出である。
2023/07/30
とん大西
親も最初から親だったわけじゃなく、子もいつまでも子どもじゃない。わかっていてもココロはままならない…よね。死期を悟った人の安らぎのために、遺された人の憂いを和らげるために。人生の走馬灯をととのえるブレーメン・ツアーズ。あぁ、このファンタジー、もどかしい人情の機微。泣いてしまうかもしれない、と思ったら、やはり終盤で号泣ウルウルになりました。「負い目があったから、その後の人生を全うできた。走馬灯での後悔はそんな彼女の人生への敬意だ。」…もう、グサグサきたょ。はるかとふうちゃんの距離感もなんとも…ね。
2023/05/14
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