まいまいつぶろ
まいまいつぶろ / 感想・レビュー
starbro
第170回直木賞候補作第五弾(5/6)、村木 嵐、初読です。今年の歴史小説No.1の感動作でした。しかし「まいまいつぶろ」がそう言う意味だとは・・・ 徳川 家重は、現代のホーキング博士のような存在だったのではないでしょうか❓ 第12回 日本歴史時代作家協会賞作品賞&第13回 本屋が選ぶ時代小説大賞の二冠および直木賞候補作も納得、今回直木賞受賞作が二作の場合は、本書とその他の現代小説だと思います。 https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344041165/
2023/12/21
パトラッシュ
まいまいつぶろと周囲から揶揄されるほど重い身体障碍者の徳川家重が将軍たり得たのは、その意思を理解し伝えられる大岡忠光がいればこそだった。権勢を誇って汚職三昧も可能だった忠光だが、忠臣として家重に献身した君臣一体の理想像として描いていく。健常者である幕閣は家重を蔑んで悪だくみをするが、頭脳は聡明な家重は忠光の補佐よろしきを得て郡上一揆の真相を解明し、田沼意次を登用するなど父吉宗に劣らぬ政治的実績を残せた。強い孤独に苛まれる権力者が真の友を得た友情と信頼の人間讃歌であり、読後感のよい良質の歴史小説に出会えた。
2023/07/23
はにこ
徳川家重の話に初めて触れた。家治の父としか認識が無かったけど、障がいを背負った人だったんだなぁ。その家重の言葉を分かる忠光との二人三脚の人生。忠光が居てくれて良かった。忠光はきっと自分の意見もあっただろうにそれを一切見せずに役に徹したのは立派だったし、それゆえにやり遂げられたのだろう。この時代の歴史背景も分かって興味深かった。
2024/01/29
タツ フカガワ
八代将軍吉宗の嫡男長福丸(後の家重)は、へその緒が首に巻きついたまま生まれたため長じても右半身は麻痺、左手も震えて字も書けず、口から出るのは言葉とは思えぬうめき声だった。そのため家重を廃嫡して継嗣は英明の声が高い弟の宗武にという声が幕閣からあがる。そんなとき家重のうめき声を言葉として理解する少年(後の忠光)が現れる。権謀術数が渦巻く江戸城で、家重と忠光との愛と忠義の絆に読書中何度も涙腺が刺激される、“徳川もの”には珍しい(?)清々しい余韻を残す本でした。
2024/04/15
Kokopelli
大変良い話であった。八代将軍吉宗の時代、大岡越前守、田沼意次も出てくる。吉宗の嫡男、後の九代将軍家重と大岡越前守のはとこの息子大岡忠光の話である。家重は生まれつき障害を持っており右半身に麻痺があり尿意も抑えられない。失禁した袴で歩いた跡がカタツムリの這った後のように濡れているので、まいまいつぶろと揶揄される。言葉も不自由で周囲は家重が何を言っているのか理解できない。唯一判る忠光が家重の側にずっと着いて家重の言葉を伝える役目を負うのだが、周囲の謀略や吉宗の悩みそして家重と忠光の困難が描かれ、終盤は涙が滲む。
2024/01/29
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