水の翼 (幻冬舎文庫 こ 13-1)
水の翼 (幻冬舎文庫 こ 13-1) / 感想・レビュー
ぐうぐう
『無伴奏』で描いたあの時代、あの場所に、小池真理子は今一度還ろうとする。ただし、描こうとする主題は異なる。木口木版画家の柚木と、歳の離れた妻・紗江が静かに暮らす仙台市霊屋下を予告なく訪れた弟子志願の青年・東吾。弟子入りを許された東吾と夫妻の生活が綴られるにつれ、読者は安易に三角関係を予想するが、そのような邪さを小池は歯牙にも掛けない。ここで描かれるのは、美を追求する師と、その美に追いつこうとする弟子、そしてそんな美を愛し、崇拝する女性の純粋な姿だ。(つづく)
2024/06/07
コロチャイ
やっと読み終えたという感じです。「恋」「無伴奏」と続いた女性像。かなりなエキセントリックな性格の女性像が語られていた。三角関係が出会った場面から織り成すエロスも満開だった。仙台を舞台に抒情的な表現と季節の織り成す情景にちりばめられた、幻想小説とも思われた。また水の翼の絵に関しては、建石修志の版画の世界を想念させた。
2022/05/10
James Hayashi
これは女性受けする作品なのかなー?1998年の作なのに学生運動とか話が古臭いし、イマイチ。10点満点中5点
2013/08/23
ヘビメタじじい
う~ん、ずっと読んで、いたい本でしたね。古口木版も好きで技法などが書かれている部分は興味深かった。お話は、女性の恋心の深層をここまで描けるのは女性作家ならではで、恐ろしいと感じる反面、一体であるはず肉体と精神の両方を嫌見なく描き、清清しささえ感じる文章は、読んでいて常に私の感情の深層のどこかを刺激する。小川洋子の「やさしい訴え」以来の読み続けていたい小説でした。最後のテロで死亡は、ちょっと…殺人までするほど思想的に嵌っていたとは思えないが、主人公の悲しみをより際立たせるには良い死に方?…とても素晴らしい小
2010/09/16
Mary
言葉のつむぎがとても美しくて、うっとりしながら読み進めた。東吾の謎、えっと声を出してしまったけど、本当のラストがなんとも言えず苦しい。
2021/03/06
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