虚貌 上 (幻冬舎文庫 し 11-2)
虚貌 上 (幻冬舎文庫 し 11-2) / 感想・レビュー
mura_ユル活動
雫井さん、5冊目。心理描写が好きな作家さん。昭和55年、会社を辞めさせられた腹いせに、社長気良の家に襲撃した「美濃加茂事件」。一緒に乗り込んだ、荒勝明が他メンバーに嵌められ、20年後の出所後に復讐。当時の担当刑事、滝中守年が荒を追う。刑務所での荒へ手紙を送っていた謎の人山田の存在。顔にカバーマークしている憂鬱症の辻刑事の存在。気にかかることを残し下巻へ。雫井さんの本はスピード感を持って読むことできる。名古屋、岐阜県可児市、美濃加茂。
2020/04/20
イアン
2001年に発表された雫井脩介の長編。多額の借金を抱え運送会社を解雇された荒は、同じく解雇された時山らが計画する社長一家襲撃事件に加担するが、時山の策略により主犯に仕立て上げられてしまう。21年後、荒の出所を機に当時の犯行メンバーが次々に惨殺され…。一連の事件は荒による復讐なのか。癌に侵された老刑事、将来に不安を抱く元アイドル、顔に痣を持つ若手刑事など、次々と視点を変えながら展開する高いリーダビリティに息を巻く。年下の同僚に疎まれ、一人娘に素直になれない不器用なモリさんに共感を覚えつつ、下巻へ向かいます。
2021/04/17
セウテス
気良一家放火殺人事件、そこに至る物語が語られる。犯人の一人であった荒は、決して悪人では無かった。むしろ少し環境が違ったなら、平凡な普通の人生を送っただろう。確かに人生は、最後は自分の責任だとは思うが、周りの友人が別の者たちであったなら、主犯として21年の刑期に為らなかったかも知れない。その荒が刑期を終え出所になると、荒を主犯に口裏を合わせ先に出所していた仲間が、殺害されて行く。荒の復讐なのか、成功している仲間の口封じなのか。どちらに展開するのか、全く先が読めない。否応なしにも盛り上がる、そのまま下巻へ。
2017/02/02
miww
解雇された3人の男が会社経営者一家を襲った放火殺人事件。他の2人に流された形だったが、嵌められ主犯とされた荒が出所した直後、共犯だった者が次々と惨殺される。21年前の捜査に心残りのある刑事が癌を患う中捜査に乗り出す。刑事と元アイドルのその娘、顔に痣のある刑事。それぞれの視点で進む展開は中盤から一気に加速し引き込まれる。作中何度か思い浮かぶ「貌」というキーワードと、最初に登場した荒の支援者が気になりつつ下巻へ。
2021/07/30
あつし@
前半第一章と二章途中までは、なかなか読み進めなかった。集団の暴力や狂気、一家惨殺、レイプ等は忌避したい思いがある。作者の筆致が精緻だから尚更だった。途中で放ろうかと思ったが、滝中の病室からの復帰と共に俄然面白くなってきた。虚ろな、虚偽の「顔」なのか「全体」なのか?題名から下巻の展開を二通り予想しているが…。
2017/11/01
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