最後の家族 (幻冬舎文庫 む 1-20)
最後の家族 (幻冬舎文庫 む 1-20) / 感想・レビュー
ミカママ
龍兄ィ作品の中では好きなタイプだった。引きこもりやリストラなど、それぞれに事情を抱えた四人家族。それぞれのナラティブで物語は進む。ひとつの事象が四人四様の視点から観られるのは普段は好みなのだが、さすがに繰り返しが多かった。龍兄ィにしては、毒も足りなかったように思う。
2020/08/15
はたっぴ
同僚からのお勧め本。4人家族、それぞれの目線で語られる一家の物語。両親に暴力をふるう引きこもりの長男・秀樹が主役かと思ったが、両親や妹の知美も問題を抱えている。この世で数え切れないくらいたくさんの家族が、大なり小なり心に秘めた悩みや難事に振り回されて日々を過ごしているだろう。そんな私達にとってどん底から這い上がるようなストーリーは心を掴まれる。特に引きこもりの秀樹が隣宅のDVを目撃したことにより、自らの行動を省みて再生していく姿には泣かされた。4人の結末が意外な展開を迎えたが、これも著者ならではだろう。
2018/09/10
優希
家族がテーマなのでしょうか。4人の家族それぞれが抱えているものがあって、過酷な現実へ向かっている物語。残酷ではあるけれど、少しの幸福があることが救いに感じました。
2020/08/22
風に吹かれて
引きこもりの21歳の秀樹、宝飾工芸を極めるためイタリア行きを考えている男のもとに通う高校生の知美、秀樹のことでカウンセラーに通う母の昭子、家計の主力を担っているが不況で傾こうとしている会社に勤める秀吉。内山家四人の家族は、どうなっていくのか…。 それぞれに家族への想いを抱きながらも自分の人生をどう生きていくのか。引きこもり部屋の窓から秀樹は隣家のドメスティック・バイオレンスを目撃し、有名私立大への進学を有望視されている知美はそれが本当に望んでいる道だろうかと思い…。 →
2023/09/20
パラ野
これから家族を題材にした小説は消えていくのでは、村上龍だったら、どんな答えを用意するのだろうか、ということで読んでみましたが、これ10年以上前の作品なんですね。典型的な4人家族が解体されて、個人となり、家を離れていく過程が、題名とよく合っていました。母親が個人としてゆっくりと家族以外の人と関わり、職を得る段階など、優しくて良かったです。健全な大人として子供たちが家を離れるのと、父親が故郷に帰っていくのが対象的。
2014/11/13
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