わが人生の時の会話 (幻冬舎文庫 い 2-7)
わが人生の時の会話 (幻冬舎文庫 い 2-7) / 感想・レビュー
choku_tn
1995年集英社刊の単行本の文庫化。「会話」を軸に有名無名の人々との邂逅を綴った39編。際立つのは石原裕次郎の晩年を回顧した『最後の会話』。弟へ向ける優しさと身内ゆえの苦悩が滲み出る。 大きなウェイトを占めるのが作者ならではのヨットやダイビングで遭遇した出来事。行為を活写する語り口が冴える。他にも偶然耳にした隣の病室の会話からある少年の哀しい運命を知る『還らなかった少年』などいずれも抉りがきいたタッチで飽きずに読み通せる。時折自己顕示は見え隠れするが事実を基にした短編小説集の逸品。
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