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無名 (幻冬舎文庫 さ 18-1)

無名 (幻冬舎文庫 さ 18-1)

無名 (幻冬舎文庫 さ 18-1)

作家
沢木耕太郎
出版社
幻冬舎
発売日
2006-08-01
ISBN
9784344408289
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無名 (幻冬舎文庫 さ 18-1) / 感想・レビュー

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KAZOO

沢木さんのご尊父とその関わり合いのご自分のことを書かれたある意味ノンフィクションなのでしょう。じっくりと読ませてもらいました。今まで沢木さんご自身のことについてはほとんど知らなかったのですがかなり知ることができました。父親の入院とともに、母親、二人の姉などが介護していく中での父親がどのような人物であったかが語られていきます。そんなに感傷的にならずにこの題名にあるような人生を送った「無名」の父親を書けたと思います。

2024/07/11

じいじ

「無名の人の無名の人生だったが…、すこし長く生きすぎてしまったかもしれない…」主人公の父親が、家族に米寿を祝ってもらった際の言葉である。私は読みながら、この父親がどんどん好きになった。飾らない、気取らない、粋がらない、自分に正直に生きてきた、その人柄に…。読み終えて、人の「運命」ついて考えさせられた。人の死には人それぞれに、もって生まれた潮時があるのかもしれない、と思った。もう一度、こころ静かに読み返してみたい本である。

2021/07/12

ふう

抑えられた文章ですが、作者の父親への思いが深く静かに伝わってきて、読んでいる間も読んだ後も胸の中にこみ上げてくるものがありました。タイトルの通り、ほとんどの人々は「無名」に生き、無名に死んでいきます。でも、それは何もなさなかったということではありません。家族や社会のためにせいいっぱい生きてきた親は、社会的には無名でも、子どもにとってはかけがえのない大きな存在です。その親を送った悲しみと、何か大切なものを受け取ったという思いが、このタイトルだからこそ余計に強く伝わってきました。

2017/01/13

ふじさん

再読。最初に読んだのは、自分の父親が亡くなり、その数年後のことだった。自分の父親と沢木の父親のおもかげが重なるところがあり、共感して読んだ記憶がある。息子にとって父親は特別な存在であり、意外と知らないことが多いものだ。沢木が父が残した俳句を句集にする作業は、まさに父親の追想だったのかもしれない。自分の父親の死と正面から向き合い、父親の最後を看取った、作者の一つの到達点の作品だ。

2021/07/01

kinkin

入院そして亡くなるまでを見続ける著者。亡き父の俳句を選び一冊の本にするまでが描かれている。著者とその父との関係は、私にも一部通じたことで共感できた。私の父も入退院を繰り返し、うちに帰りたいともらしていたが結果肺炎で死んだ。生前から短歌を詠んでいたのは知っていたが本書に出てくるように新聞広告で作ったメモの裏に書かれた歌を見たとき難しい文章ながらどういう意味なのか調べたことがある。戦時中に頭から押さえつけられ反抗は許されない世代だからこそ静かに自分という人間を主張していたのかもしれない。静かに沁みる本。

2015/02/17

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