雷鳴 (幻冬舎文庫 や 3-15)
雷鳴 (幻冬舎文庫 や 3-15) / 感想・レビュー
Quijimna
日韓併合直後の済州島。苛烈な弾圧と悪辣な土地取り上げで困窮する島民たちと、下級両班の家の十歳の男児と「結婚」させられた李春玉の生活。成長した夫は姑と一体になり彼女を虐め続ける。作家の筆致が、読む者を暗く荒れたあの島に引きずり込む。★★★★☆
2016/05/19
方々亭
日本統治下時代の済州島が舞台になっている。在日朝鮮人である作者ならではの物語だと思った。これでもかこれでもかというほどの不幸の連続で、最後に日本に渡るところで終わる。この主人公のモデルが作者の母親との記述はないけれど、もしそうであるなら、あの『血と骨』に繋がって行くわけで、本当に救いがない。
2023/06/16
right27
実際に雷鳴が轟いたのは冒頭だったが、ラストシーンで雷鳴が轟いたように感じたのはなぜだろう。ところどころに、フィクションではない、当時の状況を説明する注釈のような一文がわたしにはありがたかった。また、女性が嫁いだ先の「イエ」で被るさまざまな暴力をありありと描いているのは新鮮だった。大阪の生野区のあたりを訪ねてみれば、春玉のひ孫にでも会えるような気がしてくる。
2020/05/17
K3
日本の侵略により日本への移住を余儀なくされる。この矛盾。
2016/11/06
鍋煮マロニー
「血と骨」の主人公金俊平の妻、李英姫の大坂へ渡る前の物語なんでしょうか?日本の植民地時代の済洲島、18歳で10歳の幼児に嫁いだ李春玉の過酷な人生のお話。血と骨を映画で観てから読んだのでイメージは鈴木京香、虐げながらも凛として前を向く逞しいオンニ像
2014/04/12
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