上と外 上 (幻冬舎文庫 お 7-9)
上と外 上 (幻冬舎文庫 お 7-9) / 感想・レビュー
さてさて
エンタメ・アドベンチャーの世界がスピード感を持って展開するこの作品。登場人物の複雑な親子関係を背景に恩田さんの親と子に対する見方が垣間見える部分がそこかしこに出てくるのがとても印象的です。一番印象に残ったのは「親は概ね子供を信用しているが、最後のところで信じていない。子供は普段の生活の細々としたところでは親のことを信用していないけれど、最後のところでは信じている」という父親の自問自答の箇所。下巻もとても楽しみになるこの上巻。この期待が裏切られませんようにと、マヤの神々にお祈りして続きを読みたいと思います。
2021/05/09
パトラッシュ
海外旅行先で戦乱に巻き込まれた外国人が大自然のただ中を逃げ惑う物語は、ターザン以来さんざん使い古されたパターンだ。しかも小中学生の兄妹が両親と離れ離れになり密林に放り出されるのだから、下手をすればご都合主義的展開の見本になりかねない。そのあたりをどう持っていくか興味を持ったが、最初は家庭小説的に進んでいたのが突然謎の少年ニコが登場し一気に異世界風のドラマとなる。作者はリアルとファンタジー双方ともに得意だが、従来は明確に分かれていたのを本作では大人が前者に、子供が後者に巻き込まれ両立して進んでいく。(続く)
2022/01/09
ehirano1
スローな滑り出しだし、400ページもあるから出張移動中の読書は上巻だけで大丈夫だろうと高をくくっていたら、ストーリーは急激にスピードアップ!おかげであっという間に上巻読了。しかし出張地へは遥か遠い・・・・・。仕方ないので下巻の展開をひたすら妄想することにしました。この“ひたすら妄想”、やってみるとけっこう楽しいんですね。これも読書の効用の一つなのでしょうか。
2017/01/03
aoringo
中南米にある遺跡で調査をする父親の元へ母、息子、娘と共に飛び立つが彼の地でクーデターにあい子供たちはジャングルへと迷い込んでしまう。上巻では子供たちのサバイバルに焦点をおかれている。そしてこの世のものではないような地下道?神殿が緑の海原に存在することに疑惑を覚えるが。恩田さんの作品で上下巻に分かれる大作は珍しい気がする。彼らは無事に親と再会できるのかハラハラしながら下巻へ。
2022/11/05
NADIA
離婚した夫婦とそれぞれの元にいる兄妹が、年一の再開旅行で訪れた中米G国でテロに巻き込まれ、練と千華子の兄妹がジャングルに投げ出され遭難。失われた文明の魅力、生命力と色彩に溢れた街。脳内に映像が浮かぶよう。そしてジャングルのじっとりと濃密な空気も肌で感じられ、一緒に二人と極限を共にしているような錯覚に陥る。が、G国・・・。恩田さんはいつも国名・地名をイニシャルにしているが、それ必要かな。物語に引き込まれている時にG国とかの表記があると、その瞬間に物語の世界から現実に引き戻されるが、続きが気になる。下巻へ。
2019/07/21
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