てるてるあした (幻冬舎文庫 か 11-2)
てるてるあした (幻冬舎文庫 か 11-2) / 感想・レビュー
さてさて
照代をあたたかく見守ってくれた佐々良の街、そして佐々良の人々。『不思議が起こる』その街で、不思議を現実のものとする意思、再び歩き出そうとする意思、そして自分の人生を生きるんだという力強い意思。そんな照代の強い意思の力を支えてくれる人のあたたかさを見る物語。『特別』なことは誰にでも起こり、人と人が繋がっていくのを見る物語。そして、『遠く遥かな空間も、そして時間も超える』ことができる、そんな人の想いを強く感じる物語。それは、佐々良の街に展開するファンタジー世界の中に、人のあたたかさを感じる、そんな作品でした。
2021/08/18
しんたろー
シリーズ2作目は、理不尽な事情で佐々良へやって来た16歳の少女・照代を主人公に、前作のサヤを始め、3人の婆さん、エリカなどが絡む、チョッとファンタジーな青春物語。筆者らしい優しいタッチでサクサク読めるし、人との距離を考えたり、時折ホロッとさせられたりした。不満だったのは照代の両親の無責任さ…設定上で不可欠な要素なのは理解できるし、哀しい生い立ちも同情するが、それにしても最後は母親だけでも「母親らしい行動」を描いて欲しかった。好きな加納さんだからこそハードルが高くなってしまうが、次作も期待して読みたい♬
2019/12/03
へくとぱすかる
両親の夜逃げのため、遠い親戚を頼ってきた照代が、何とか落ちついた先が、佐々良の町の鈴木久代の家。せっかく合格した高校の入学金を払わなかった両親にはあきれ果てる。これは最近の虐待と変わらない。15年前にこれをテーマにした作者は実に鋭い。未熟ながら懸命に生きようとする照代から目が離せないが、周囲の人々のそれとない支援も見逃せない。久代さんの一見突き放したようで、実は暖かい見守りには頭が下がる。話が後半ドラマチックに急展開していくが、人の幸せについて深く心に響かせてくれるラストとなる。そして幽霊の正体が意外だ。
2020/07/26
ダイ@2019.11.2~一時休止
ささらその2。前作の雰囲気を残しつつ、新キャラが主人公として佐々良にやってくる。前作同様最後にジーンとくる。
2015/01/23
佐々陽太朗(K.Tsubota)
人生とは何か。生まれてきたこと、生きることの意味はなんだろう。詩人・寺山修司氏は「さよならだけが人生ならば また来る春は何だろう」と詠んだ。この小説に一つの答えがあるのではないか。自分が周りを思いやり、周りが自分を気にかけてくれるならば、人はどのような状況であろうと希望を捨てることはない。魂が揺さぶられるような生き方が出来る。人一人の人生など無限の宇宙、悠久の時の中で何の意味も持たないかもしれない。しかし、人は心温まり、魂が揺さぶられるものを求めている。それが生きるということなのだと。
2015/01/07
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