彼女が死んだ夜 (幻冬舎文庫 に 8-3)
彼女が死んだ夜 (幻冬舎文庫 に 8-3) / 感想・レビュー
W-G
学生アリスシリーズほどの青春色はなく、どちらかというと、S&Mシリーズがちょっとくだけた印象な学生物。酒を呑みながらああでもないこうでもないと推理を繰り広げる…らしい事はわかっていたが、なるほど、ロジカルな推理というよりは、限定条件内で飛躍もありのまさに”妄想”でミステリしてみるには酒席という設定は面白いかもしれない。唯一無二の解を求めるのではなく、わかっている範囲内であればこういうストーリーが考えられますよ、という結論の導き方は、本格としては物足りないのかもしれないが癖になる何かがある。
2017/11/02
納間田 圭
血統書付き箱入り地元国立大の2回生。7月15日時刻は午後11時過ぎ。今夜は親戚の不幸で両親不在。なので…酔っ払って帰った自宅の玄関。足を踏み入れた瞬間に何かが普段と違っていた。「だれ⁉︎」女が…リビングに無防備に両手を広げ素足を晒し仰臥して倒れていた。髪の毛は無造作に刈り取られ…パンティストッキングに纏めて詰め込まれあった。白眼が覗き口唇は半開き…周囲には赤黒い血痕。「死んでいる⁉︎」そこから始まる…登場人物たちの不可解な行動の数々。まず…警察に連絡しくちゃ駄目なのに、そうしなかった○○な理由とは
2022/08/07
🐾Yoko Omoto🐾
匠千暁シリーズ。酒好きな大学生たちが事件に巻き込まれる軽いタッチのミステリと見せかけ、その実あり得ないほどの相当ダークなストーリー展開はさながらジェットコースター並。東野氏の「卒業」よりもかなり重い上に、モラルハザードを起こしている登場人物の多さは救いようがない。推理面については緻密なパズラーというより、ディスカッションを重ねながら妄想を含めた仮説を組み立て真相に迫っていくという安楽椅子タイプだが、素人が事件に直面した時の考え方や反応が非常にリアル。後味の悪さは凄まじいがキャラの良さに救われた感がある。
2014/05/07
hit4papa
四国の架空の地方都市を舞台に、大学生 匠千暁(タック)と仲間たちが様々な事件を解決していくというシリーズものの第一作です。女性の死体の後始末を頼まれたタックらが、そこから端を発した連続殺人事件の解決に乗り出します。推理ゲームを繰り広げながら、真相に迫っていくのが本シリーズの特徴でしょうか。軽妙なやり取りとは裏腹に、全てが明らかになるにつれドロドロとした人の汚い部分が浮き彫りになっていきます。本作品は、青春小説の趣を持っており、今後のタックらがどのように成長していくのかシリーズを読み進めるのが楽しみです。
2017/01/25
セウテス
タック&タカチシリーズ第2弾、時系列から言えば最初の作品になる様です。明日のアメリカ留学を前に、壮行会から自宅に戻ったハコちゃんは死体と遭遇する。面倒に巻き込まれるのを嫌った彼女は、主人公たち友人に助けを求め、わがままを言う。なかなか臨場感の在るスタートに、否応なしにも期待は高まる。やがて分かって来る状況から、ミステリとしての謎解きは出来るのだが、如何せん物証の無い予想の話になるので最期迄ジリジリとしてしまう。結論から言えば、この様な彼女達を友人と思うな、と言いたい。よってラストの落ちは、当然大満足です。
2015/09/09
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