「資本論」も読む (幻冬舎文庫 み 15-1)
「資本論」も読む (幻冬舎文庫 み 15-1) / 感想・レビュー
HANA
昔『資本論』に挑戦したことがある。教養の一環としてとの考えだったが当時は共産主義が潰れていたので、面倒臭くなって序文も読みきらずに放り出したものである。本書は劇作家がそんな『資本論』読破に挑戦した一冊。読む前はもっと読書の苦痛というかコミカルな内容を想像していたのだが、実際は滅茶苦茶真面目に取り組んでいる。前半は『資本論』のエッセンスが中心だが、後半になると読書論やマルクスに関するエッセイみたいなのが中心となっている。こういう形にされると『資本論』に改めて興味が湧いてくるな。もう読もうとは思わないけど。
2015/03/21
メタボン
☆☆☆☆★ 資本論などわからなくてもよい。ただそれに悪戦苦闘しつつも読み込もうとするその行為が尊いのだ。宮沢章夫が、また一つ別の読むことの地平を顕わにした。それだけでもこの書の価値はある。相変わらず彼の文体に何度も吹き出してしまった。資本論も読むを読む。それでいいではないか。と強がってしまうのもマルクスが憑依したか?そんなことはないだろう。資本論を読めない言い訳が一番面白かった。雑誌の連載をリアルタイムに毎回読んでいれば、この面白さを更に感じられたのであろうな。
2017/10/14
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
長くて難解なマルクスの『資本論』を宮沢章夫さんが悪戦苦闘しながら読んでいる様子を読む。ある意味ノンフィクション?引用されている一部だけでも、何が何やらで私には無理だと思った。本に影響されやすい性格だけど、これは挑戦しようとは思いません(笑)
2016/11/07
九鳥
「『資本論』を読む」を読む。この感想を読んでいる人は「「『資本論』を読む」を読む」を読むことになる。劇作家でエッセイストの宮沢章夫氏が書いているのだから当然経済学の本でも『資本論』の入門書でもなく、これはただ難解な『資本論』というテキストと格闘する人の思考のドキュメントなのだ。引用されている文章は本当に訳が分からなくて、読んでいてループにはまり込む。分からないのに、刺激的でスリリング。
2009/09/08
紫羊
宮沢章夫の手にかかれば、世紀の大著も木端微塵だろうなと思いながら読んだが、思いのほか本気なのに驚いた。インテリを標榜する教師や学生の間で、「資本論」がもてはやされていた時代があったことは、わずかばかりだが記憶に残っている。でも、宮沢章夫の悪戦苦闘ぶりから想像するに、実際に読み通した人間がいたとは思えない。私自身も、資本論には手を出すまい・・・
2013/09/12
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