骸の爪 (幻冬舎文庫 み 11-3)
骸の爪 (幻冬舎文庫 み 11-3) / 感想・レビュー
夢追人009
道尾秀介さんの第3作で、心霊探偵・真備&助手の凛&ホラー作家・道尾先生のシリーズ第2作です。まずシリーズの良さは名探偵・真備が堅物の人ではなく真面目な顔で平然とお馬鹿な事をしてみせて周囲を呆然とさせるコミカルな味ですね。扱う事件が暗くても読者の気分を決して暗く落ち込ませないのがイイですよね。取材で滋賀県の山中にある仏像の工房・瑞祥房(ずいしょうぼう)を訪れた作家の道尾は初日の夜中に千手観音像が笑うのを見て外に出ると今度は血を流す仏像を見る。翌日には仏師が一人姿を消し二十年前にも仏師が失踪していた事を知る。
2022/02/03
KAZOO
道尾さんの真備シリーズの第2作です。仏像や観音様が数多く出てきます。道尾さんはかなり勉強されているようでこの作品の中でも仏教関連のことがかなり出てきます。私は仏像関連が好きなものですからかなり一気に読んでしまいました。今回も最初はホラー系統が中心かなあと思いましたが、かなり論理的な話で終わっていました。非常に楽しめました。
2016/02/03
とら
非常に読み進めるのが遅くなった…本と言うものは勿論、読んでいて初めて聞く知識で溢れているのが当然だと思うし、そう言う知識を得るのも本を読む上での楽しみの一つに挙げても良いくらいである。…でもそれにしたって、この作品の題材にはちょっと入り込み難かったと言うか興味を持てなかったと言うか…何か興味を持てないとか言うとバチが当たりそうで怖いのだけれど、でも仕方が無い。一応読んだが、物語の重要な所までその要素が関わってくるので、少しキツいものがあった。まあ少々中弛み感があっただけで、最後は一気読みだったのだけどね。
2014/03/22
nobby
再読。真備シリーズ2作目。まさに本格ミステリー抜群の王道ぶりを堪能!山奥の仏像工房を舞台に、口を開けて笑う千手観音、暗闇で響く声「…マリ…マリ…」、その片隅で血を流す仏像など次々と出くわす事態にはゾッとさせられる。続けて描かれるのは弟子の失踪やかつての天才仏師の因縁、そこには独特の暗澹たる雰囲気が漂う。そして行き着く些細な勘違い重なっての顛末は、最後の最後まで哀しく切ない…それにしても今作の細かい伏線のばら撒き方は絶妙!仏像・法華経から自然事象や冗談交えて、蘊蓄やダブルミーニングで拾っていくのは痛快爽快!
2018/11/22
sk4
やはり、ミスリードが上手い道尾先生ならではの長編。486ページもあっという間に読み切れました。偶然が偶然を呼び、そして殺意は一気にターゲットに襲いかかる。女性にはわからないかもしれないけれど、すべての男性が持つ性質の中で最も醜いもの『嫉妬』によって引き起こされる悲劇。二十年も昔の業がどんなに時を経ても我が身に降りかかってくるという、今回の舞台である仏教のフィールドの根底に通じる世界観は、見事でした。個人的にはシリーズでは、この骸の爪が最も好きだったと思います。
2012/07/05
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