ぽろぽろドール (幻冬舎文庫 と 8-4)
ぽろぽろドール (幻冬舎文庫 と 8-4) / 感想・レビュー
匠
人形をテーマにした6つの短編小説。子どもの頃に遊んだことがあるという程度の人や、人形を恋人のように愛してしまったり、または愛した人を人形として再現した人など、向き合い方も様々。そして、艶かしく妖艶さを漂わせる雰囲気のものから、少年の身体つきをした球体関節人形、着せ替え人形など、一言に人形と言えどそのスタイルも様々。でも共通しているのは、人形への自己投影なのではないだろうか。6篇の中、個人的には自分の経験と近い「めざめる五月」が特に印象深かったが、「きみのいない夜には」は現実的な怖さが光っていた。
2013/10/08
takaC
異教徒の本だ!すごく邪悪だ! でもその邪悪さがとても面白かった。お気に入り。
2011/03/23
春が来た
憧れ、醜さ、嫉妬、依存、後悔。満たされない。それを撫でるように、快楽を求める。出来ることなら、強い罪悪感が伴う快楽。普通の中に秘めた僅かな狂気さ。その湧き出る一部を人形に託す6つの短編集。「君のいない夜には」がすき。
2019/04/28
yu
人形の呪いといったホラー特集や映画でも何かと恐怖の対象として扱われる人形というものに気味悪い印象を抱く人は多いと思う。確かに綺麗な人形もあるけれど、人の姿形をしているからこそ視線を感じることがあって私は幼い頃からすごく苦手。この本では人形そのものよりも持ち主である人間の不気味さの方が際立っていて興味深かった。人形にひたすら恋い焦がれ依存する人、人形を誰かの代わりに愛でる人、未来永劫 人形になってかわいがられたいといった人形化願望。官能的で恥ずかしくなるような話もあり、人間心理の面白さを感じた。
2015/06/26
エドワード
最近の二十歳前後の女子を見ると、フィギュアみたいだ、と思うことがある。今の日本の若い女性は、限りなく人形体形に近づいている。髪をなびかせ、胸は大きく胴はくびれ、手足は細く長く。「人形愛者なだけでもう異端者だしね。」というセリフが出てくるが、私はそうでもないと思う。幼児から中高生くらいまで、人形が好きじゃない子供はいない。マンガ・アニメ・ゲームで世界の最先端を行く日本の原動力は、オトナの人形愛なのだ。着替え人形の服を作るアナタ、ホビー屋でフィギュアをみつめるキミ、胸を張って人形を愛せ。それが日本の進む道だ。
2013/08/05
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