メモリークエスト (幻冬舎文庫 た 48-1)
メモリークエスト (幻冬舎文庫 た 48-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
高野秀行氏の著作はこれで13冊目になるが、これまでに読んだものと比べると幾分か低調な感は否めない。なぜならば、これまでの本では書きたい、書いておかなければという強いモチベーションがそこにあった。それが他者から見れば荒唐無稽な幻獣のようなものであったとしてもである。ところが、今回はそうした情動が(一時的に?)枯渇したために、読者に頼った人探しなどするものだから、結局は主体的な「書く」行為が発揮できなかったのだ。もっとも、篇中の5話の中では、第4話の南アフリカ篇が唯一、高野氏の本領発揮の一篇ではあった。
2017/07/20
gonta19
2021/9/5 ジュンク堂三宮店にて購入。 2023/1/25〜1/30 他人の思い出を辿って世界を彷徨うなんとも面白い企画。5人の人を探すべく世界を股にかけて尋ね人を探す高野氏。いゃ〜、見つかるもんですねぇ。
2023/01/30
ゆいまある
これはタイトルを「高野秀行の探偵ナイトスクープ」にしたほうが売れるんじゃないだろうか。高野さんが探偵となって、世界各国に人探しの旅に出る。タイ語中国語を駆使してタイとミャンマーの国境地帯に行ったかと思うと、英語とリンガラ語を使って南アフリカにコンゴ人を探しに行く。南アは高野さん自身のクエストなんだが、奇跡としか言えない偶然が重なって生き別れの友人リチャードと再会する場面は思わず声が出るぐらいテンションが上がる。人との出会いはドラマチックに、ルワンダの大虐殺や南アの超格差社会は俯瞰的に書くメリハリは流石。
2018/12/24
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
高野氏といえば、世界中の辺境を旅したり、未知の動物や土地、民族を探索したりとはちゃめちゃな探検家のイメージが強かったが、今回は少し違う。一般公募した小骨が喉に引っかかったような「記憶」の中の人探し。ミッションへとステップアップ。タイをはじめ、ユーゴ、セーシェルや南アフリカなど4カ国を約1ヶ月間かけて、少ない情報で記憶をたどる旅。ワクワクドキドキしながら読んだ。それにしても、探し当てる確率が80パーセントとはすごすぎです。
2019/08/30
ホークス
2009年刊。旅の記憶=「忘れられない人物」の捜索依頼に応えて世界を巡る5篇。著者には楽な仕事では?という勘ぐりは間違い。言葉が分からなくてもズンズン入ってゆく度胸、本音を引き出すしつこさ、楽天的で落ち込まないハートは著者独自のものだ。殺気立っていた人が、次の瞬間に笑い出す光景を何度も見せられる。とても真似できない。愉快な語りについ忘れてしまうが、明日をも知れない厳しい環境が、世界には余りにも多い。南アフリカとセルビアでは、民族間の戦争や迫害から目を逸らしたら会話もできない。高野流人間学の書。
2020/05/16
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