奇妙な賽銭―公事宿事件書留帳十八 (幻冬舎時代小説文庫)
奇妙な賽銭―公事宿事件書留帳十八 (幻冬舎時代小説文庫) / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
抜群の安定感、シリーズ18弾。6編収録。おのれも悪と知ればこそ、私情入る裁きさえ心地よい公事宿居候の菊太郎。更正しようとする島帰りの弥助。金目当てに弥助の道を遮る同心・蝮の平十郎。「まんまんちゃんあん」は幼い娘の祈りの言葉。博徒の跡取り息子が、貧しくとも支え合う長屋暮らしの面々に、やくざな道から根付師への転身決意させる「転生の餅」肩肘張らず愉しめる時代小説・人情譚。長く続いて欲しいシリーズです。
2012/01/01
suzu
まんまんちゃん、の雇い主の女将のたんかがいい。すっきりする。子供らがわちゃわちゃ出てくる話おもしろい。
2020/08/15
fengui
私が読む時代小説は舞台がだいたい江戸なので京言葉、雰囲気を堪能しています。今回は後味のよい作品が多くて嬉しかったです。菊太郎は正義ばかりを振りかざさないからいいのかな。表題作の賽銭の主、利発。
2012/03/29
くぅ~ねる
今回は「金と渡世」をテーマにした話が揃っていて面白かった。年端もいかない子供が、ある理由から義賊の真似事をしていると云う表題作や、金によって引き裂かれた男女が年老いてから再会出来たが哀しい最期を迎える「虹の末期」は読み終わってしんみりとした気持ちになった。反対に、ひょんな事からヤクザの倅の看病をする事になった貧乏暮らしの長屋住まいの人々がお礼の大金に目を眩ませず真っ当に生きる姿を見せ、ヤクザの倅が改心する「転生の餅」は清々しい読後感を得られた。経済的な豊かさも欲しいがそれ以上に心の豊かさも欲しいと感じた。
2016/06/13
まゆ子
★★★★★ 「虹の末期」と「転生の餅」が秀逸。
2014/08/19
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