後悔と真実の色 (幻冬舎文庫)
後悔と真実の色 (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
nobby
中盤から離れられず一気読み。手指1本を持ち帰る狂気連続殺人魔、公募で自称な、“指蒐集家”。その解決模様が盛り上がるとみせて、すっかりアウトローな刑事西條の堕ちていく様子と後悔が描かれる。その人物描写や心理模様の読みやすさは貫井作品ならでは。悪気なくまっすぐに突き進んでる自覚と周囲からの思いの相違、とても他人事ではない…犯人がもっと近場との見当違いはおいといて(笑)最後語られた真相に個人的には満足♪
2015/08/19
イアン
★★★★★★★★☆☆山本周五郎賞を受賞した貫井徳郎の長編。都内で人差し指を切断された女性の刺殺体が発見される。難航する捜査を嘲笑うように第二の殺人が発生するが、その遺体もまた人差し指を切断されていた…。それは連続殺人か、それとも模倣犯か。〝指蒐集家〟を名乗る犯人の正体は?ネット創成期のためか掲示板や飛ばし携帯に警察が翻弄され過ぎな気もするが、個性的な刑事の面々が抱える嫉妬や出世欲といった内面のドロドロを上手く描いている。まるで高い所から水がこぼれ落ちるように、どこまでも堕ちていく西條の悲哀が胸を打つ良作。
2023/03/01
🐾Yoko Omoto🐾
第23回山本周五郎賞受賞作。警察小説の様相を呈しながらも、その実非常に重厚な人間ドラマが展開される秀逸な作品。「指集蒐家」と名乗る猟奇犯を追う刑事たちの嫉妬・僻み・野心などの負の感情を赤裸々に綴りながら、悔恨・自責などの背徳感情へと転換させていくプロセスはまさに貫井氏の真骨頂的な作品だと言える。真犯人については中盤辺りで予想はついたが先の展開に目が離せなかった。登場人物それぞれが胸に持つ矜持や信念と複雑に絡み合う醜悪な本音、その全てが要因とも言えるべき事件の終幕は例えようのない虚無感と喪失感に溢れている。
2014/07/03
かみぶくろ
リーダビリティが高くて引き込まれるように一気読み。確かな文章力のなせるわざ。この作家は小狡さとか妬み嫉みとか出世欲とか、人間の負の部分(というか人間の一番人間らしい部分)を描くのがホントに上手い。逆に、信念を持った「正しい」人間はお嫌いらしく、徹底的に、もうホントに笑えるくらい徹底的に追い詰めていく。真犯人のくだりは、なるほどなあ、と。随分と伏線があったことをあとから気付くのはミステリーとして勝ちだろう。続編も是非読んでみたい。
2017/09/18
kaoru
前半は本筋よりも警察内での男社会のドロドロした人間関係が見所。機動捜査隊などあまり物語にならない部署の話も面白い。後半は怒濤の展開。犯人に意外性はないけど最後までドキドキしながら読めました。
2017/03/23
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