悪名の棺 笹川良一伝 (幻冬舎文庫)
悪名の棺 笹川良一伝 (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
yoshida
笹川良一氏は幼少の頃のテレビCMで知った。一日一善、人類みな兄弟の言葉を覚えている。その後、A級戦犯であったり、競艇や日本財団の関わりを知る。印象はグレー。この作品で笹川氏の生涯について知る。勿論、この作品の記載が全てではない。自分で調べることが必要。だが読了後に印象は変わった。特に戦犯やその家族への支援、様々な助成事業には頭が下がる。戦犯は巣鴨だけではない。例えばモンテンルパにも働きかける。笹川氏の活動で助けられた方は多いはず。戦死者への畏敬、そして慰霊の考えは共鳴する。功績を広く知られて欲しい人物だ。
2020/11/10
AICHAN
図書館本。笹川良一といえば右翼の大物で日本のドンで悪い奴。そういうイメージがある。私もそう思っていた。実際、そういう面はあるようだ。しかし筆者は、 先入観念なしで取材に入り、笹川良一の生涯を淡々と追い、彼の「悪」を検証して否定し、「善」を検証して肯定し、人間・笹川良一を見事に描き出している。笹川良一観が変わる一冊。文章がうまくて読み物としても面白い!
2021/01/16
goro@80.7
「一日一善」のお爺さん、ギャンブルの元締め、政界の黒幕と数多のレッテルでしか実は知らない。本書を読み巷間に伝わる部分と伝わらない部分の落差が激しい事が分る。筆者が語るように脱税したわけでもなくボートの金が汚いのかと疑問を呈することに頷いてしまう。偽善者と言われようが人のために金を使うことになぜ批判されてしまうのか。実際子供に資産を残さず潔い。どこかのお金持ちのように蓄財しているより遥かに目的を持って稼いでいた。まぁ女性に関しては羨ましい部分が多々あるけれど氏に対する認識が改まった事は確かだ。傑物!
2017/05/19
ころこ
「一日一善」「世界は一家 人類みな兄弟」「お父さん、お母さんを大切にしよう」のCMで垂訓するかと思えば、右翼の元締めの二面性を持つ。BC級戦犯に対する不公平な扱いやその家族は、戦争犠牲者として支援を惜しまなかった。ハンセン病患者への支援や予防、啓発活動を国内外で行う。日本財団へと受け継がれた援助や助成は有名だが、その原資は船舶振興会やモーターボート競走会連合会の資金力であり、強大な政治力を持つ笹川への見返りはなかったのか。愛人が多く、記述の半分くらいは子供たちから聞き取った複雑な家族関係のエピソードだ。「
2024/06/10
Yuma Usui
オーディオブックで。前知識なく聴いたのでこんな人が居たのかと驚き。相場師で吝嗇家で飛行機乗りで右翼のトップで政治家でA級戦犯容疑者で競艇の設立者で艶福家で火の用心の人という破天荒な人。時代が時代だったと思うけど骨太な生き方には驚嘆。敢えてA級戦犯容疑者になるため演説を行い無事に戦犯として巣鴨刑務所に入り、そこでの東條英機とのやりとりや戦犯になった人達や家族への援助にはただただ唖然とした。何人もの女性と関係を結んだエネルギッシュでダラシのない面と信念や信条にひた向きな誠実さとの兼ね合いに複雑な魅力を感じた。
2019/06/10
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