ぼくたちの家族 (幻冬舎文庫)
ぼくたちの家族 (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
yoshida
若菜家は借金で破産状態。夫の克明の事業は火の車。長男の浩介は妻の実家と、自分の実家の冷やかな関係に悩む。次男の俊平はまだ大学生。若菜家の主婦である玲子は自分の記憶障害に悩み、病院で癌の診断を受ける。余命は一週間と宣告。ここから、上辺で取り繕ってきた若菜家が動き出す。家族とは何だろうと思う。家族それぞれに家族の形がある。本作は作者の経験も入り、借金や、家族の病気等の描写が実にリアルだ。家族を嵐が襲う。その後、どうするか。まず、納得の行くまで話合い行動する事は必要だろう。家族について改めて考えさせられた作品。
2016/11/26
5 よういち
これは他人事ではない。どんな家庭にでも起こり得る事態を超リアリティーをもって描いた家族小説。◆家族の気持ちがバラバラな若菜家。その中心的存在の母の脳にガンが見つかる。父と二人の息子は突然の出来事に狼狽しつつも、母のために出来ることを模索する。◆決してドラマティックな展開ではないが、それだけにとても他人事とは思えない内容だ。各章は其々の視点で物語が進められるが、母・玲子の章では病魔が進行していく様子が恐怖にも感じられた。考え方の違う父と息子たちの章は個性が出ていて興味深い。最終章でのまとめ方は見事のひと言。
2022/08/20
えりこんぐ
早見さんは本当に引き出しが多く、どのタイプのお話も読みやすくて引き込まれる。今回は家族小説。ある日突然大きな病気になる母。普段は離れて暮らす息子2人がこんなに気にかけてくれるなんて、お父さんはちょっと頼りないけどとてもいい家族だと思う。飄々とした次男・俊平にかなり救われた。あったかくて良い読後感でした♡
2018/08/23
里季
なんだかいろいろありそうな家族に突然の出来事。母に脳腫瘍が見つかったのだ。さあ大変。いろいろなことがあらわになり、家族に亀裂が走り始める。だが母親の病気とどのように闘っていくか家族で模索するうちに家族が一致団結、いがみ合いも雨降って地固まるごとく。いいお話だったが、こんなにうまくいくものかという、なんだか知らない苛立ちを感じてしまったわ。ひねくれているのかしら。
2018/06/07
takaC
家族のことを書いた作文のタイトルを弟は「ぼくの家族」兄は「ぼくたちの家族」にしたというくだりが原作(『砂上のファンファーレ』)にあったかどうか覚えていない。(そこを取って改題したのか、改題したから加えたエピソードなのかは不明)
2015/05/29
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