けがれなき酒のへど 西村賢太自選短編集 (幻冬舎文庫)
けがれなき酒のへど 西村賢太自選短編集 (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
だんぼ
やさしさに 包まれたなら
2024/07/18
イズム(清瀬泉夢)
他の作品ですでに読了していたのですが、改めて読んで見ても貫太は最低な男ですね。でもまったく気持ちがわからないわけではないかな?ここまでひどく罵倒したり暴力的になったりというのはちょっと理解はできないが、ある意味本当に自分に正直に生きすぎてる感じがクセになります。ただ、自分の近くにいたらちょっと近づくのに二の足を踏む人かもしれません。まぁ・・・すべての根底に貧困があるので、それがなくなった今は多少はいいのかもしれませんがねww
2014/05/01
澤水月
「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」…文名を馳せられないまま老いてなお文壇にしがみつく実在人物に想いを寄せ、自らの文筆と人生と名声などグルグル考える描写。結句52歳で夭逝した著者思い読みつつ俯瞰力に感心。登場する「貫多」の編集者らも限りなく実名に近い。他収録作も悲しい少年期から路頭に迷う来し方(貧屢の沼)、藤澤清造愛(墓前生活)、女、文学、DV(焼却炉行き赤ん坊)と自選だけあり初心者に分かりやすい「西村賢太」の要素詰まる。ぬいぐるみと女との生活…。
2023/01/21
mari
憎みきれないろくでなし貫多のシリーズ自選集です。全部読んだことがあるのですが、中でもろくでなしっぷりが際立つ短編ですね。交際希望の風俗嬢に100万円騙し取られる話や、たのすけぬいぐるみバラバラ引き裂き事件には稲垣潤一BGM(脳内再生)付き話。汗と魚臭ドロドロの生活なのに究極のデオドラント体質で他人の腋臭には憎しみの腋臭風呂話。さすが著者にこれぞ選ばれた短篇集(と思う)
2013/11/24
散歩いぬ
これぞ西村賢太。「貧屢の沼」に男の穢さと純情を見よ!「墓前生活」・「けがれなき酒のへど」、共に祈れ!そして「焼却炉行き赤ん坊」に瞠目せよ!残念ながら苦役列車より後の小説は勢いが落ちたと思う。むしろ随筆の方が味わいがある。しかし「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」の中の川端賞に挙がった作品名、実際は「一夜」であるが、それを捩ったものではなく「疒の歌」としていて、現在同名の初の長編が新潮にて掲載されている(後編は12月号)。故あってそのタイトルを付けたのだとすれば、出来映えに嫌が上でも期待が高まろうというもの。
2013/10/08
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