日輪の賦 (幻冬舎時代小説文庫)
日輪の賦 (幻冬舎時代小説文庫) / 感想・レビュー
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
全く期待せずに読んだのですが、正にビンゴ!読めばなるほどと思えるのですが、ちょっと見、地味なタイトルと装丁でかなり損している気がします。天智天皇の娘、持統天皇による新たな律令編纂の物語。なんともマイナーなイメージですが、新しい時代へ向けてひた走る人々の熱い思いから目が離せません。冲方丁の『天地明察』が好きな方ならきっと気に入っていただけるはず。五木寛之の『親鸞』を読んだとき以来の、久々に良いものを拾った感に満たされました♪
2018/11/24
巨峰
飛鳥時代から奈良時代へ。倭国から日本へ。大きな時代の変換期を、大宝律令の編纂を通して描いた歴史小説。天皇から、中央貴族、渡来人、地方豪族出身者、賤民階級者他多彩な登場人物を通して描く志高い作品と思う。
2018/02/16
のぶ
澤田さんは前に読んだ「若冲」が気に入ったので手に取った。時代は7世紀。大化の改新とかがあった時代で、自分は学生時代に、歴史の授業で知った程度の知識しかなく、危惧したが、大変分かりやすい物語で、一気に読むことができた。藤原京で唐と新羅の脅威にさらされていた讃良大王が、中央集権国家を確立するために奔走する話。大宝律令の編纂等、教科書に書いてあった史実が、魅力的な登場人物のもとに現代に蘇ったような印象を受けた。歴史小説にありがちな取っ付き難い言葉づかいもなく、とても読みやすく魅力的な一冊。
2017/02/23
Book & Travel
舞台は7世紀の日本。死んだ兄に替わり都へ出仕する阿古志連廣手という若者を通し、律令作成に尽力する新益京(藤原京)の人々をいきいきと描いた物語。緻密というわけではないが、ダイナミックに展開されるストーリーに引き込まれる。亡き夫・大海人が目指した法に基づく中央集権国家の建設に奮闘する讚良(持統天皇)、大きな器量で讚良を支える葛野王、讚良の味方に付きつつ不気味に力を伸ばす藤原不比等、滅びた百済から亡命し倭の発展に力を尽くす有能な渡来人たち。古代の人々の国家建設に賭ける熱い思いに、力を貰えるような作品だった。
2018/11/07
akio
七世紀、新しい律令を制定することで中央集権国家を目指す持統天皇の治世を舞台に、当時の人物たちを生き生きと描く力作です。倭から日本へ、国造りに邁進する孤独な女帝讃良の姿が痛ましくも胸をうち、物語の柱として確固たる存在感を放ちます。その脇を主人公を始めとする若者たちの情熱と、律令を編纂する学者たちの高い意識と熱意とが盛り上げていきます。まさに渾身の作。期待以上で楽しみました。
2019/03/06
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